経済産業省(経産省)は12月27日、2023年6月16日付で経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律第9条の規定により、住友電気工業(住友電工)の半導体部素材(SiCウェハ)の国内における生産能力の強化に対して認定した半導体の安定供給確保計画を取り消したことを発表した。

当初の計画では住友電工は、伊丹市と高岡市の拠点にて2027年10月より6インチ換算で年産6万枚のSiCウェハを、また伊丹市の拠点では2027年10月より6インチ換算で年産12万枚のエピタキシャルウェハの供給を開始することを計画しており、供給開始日より10年以上の継続生産を予定していた。

この取り組みの実施に必要な投資額は300億円とされ、経産省では最大100億円の助成を行うことを予定していた。

今回の認定取り消しの理由について経産省は、「短中期的な事業環境の変化、関連技術進展の加速化などにより、当初計画の事業の継続が困難となっているため」と説明しており、この結果、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律第9条の第4項の規定に適合しないものとなったと認められることから、同法第11条の第1項又は第2項の規定に基づき、当該の認定を取り消したとしている。

SiCは再生可能エネルギーや電気自動車(EV)向けで普及が期待される次世代パワー半導体向けウェハだが、EV市場がシュリンクする方向に向かっていること、ならびに2025年以降、8インチSiCウェハに市場がシフトしていくことが見込まれること、中国勢による6インチSiCウェハの供給が過剰気味になり、価格下落が進んでいることなど、市場環境が大きく変化していることなどが、今回の住友電工の事業継続性の判断ならびに経産省の認定取り消しにつながったものとみられる。