村田製作所は、Wi-Fi 6/Bluetooth Low Energy(BLE)などに対応し、通信プロトコル処理などを実行するMCUも搭載したIoT機器向け通信モジュール「Type 2FR/2FP」を開発。10月から量産開始した。

  • 10月から量産開始した「Type 2FR」(左)。右は2025年上半期に量産開始予定の「Type 2LL」

大きさが11×12×1.5mm(幅×奥行き×厚み)で、同一機能の通信モジュールとして世界最小をうたう製品。IoT機器で利用頻度の高い規格に対応した送受信機能を備える。

Type 2FRとType 2FPの2種類を用意しており、前者はWi-Fi 6/BLE/Threadの3規格に対応。後者はThreadを除く2規格に対応する。どちらもチップセットはNXP製で、前者はRW612、後者はRW610を採用している。

なお、村田製作所ではMCUを省いた無線モジュール「Type 2LL/2KL」も同時開発しており、2025年上半期に量産開始予定。他のMCUと自由に組み合わせて活用できるという。Type 2LL/2KLはType 2LLはWi-Fi 6/BLE/Threadの3規格対応、Type 2LLはThreadを除く2規格対応。

  • ラインナップ

Type 2FR/2FPの共通の特徴として、MCU(Microcontroller Unit)に260MHz Arm Cortex-M33を備え、ユーザアプリケーションの実行にも利用可能。スマートホーム製品向けの通信プロトコルであるMatterに対応している。

またセキュリティ機能も統合しており、安全なデータ通信のために最新のサイバーセキュリティ要件(SESIP Level 3およびPSA Level 3)に準拠可能で、セキュアICを別途用意する必要はないとする。欧州連合(EU)が提唱するCyber Resilience Act (CRA)への対応にも最適とのこと。

どちらも独自のパッケージング技術であるSR成形技術によって、多くの機能を小型のパッケージに集積。この技術は、セラミック電子部品の複雑形状の精密成形と性能向上を可能にするもので、シート成形(Sheet molding)と樹脂射出成形(Resin injection molding)を融合させた独自技術だという。

迅速にスリープ状態に移行する機能(TWT)など、IoT機器での利用に適した機能を厳選して搭載し、消費電力を最小化。このほか、北米・欧州・日本市場に向けた認証済みの外部アンテナオプションも用意し、顧客の最終製品が市場投入されるまでの時間を短縮、IoT機器の開発コスト削減に寄与するとしている。