積水化学工業は、同社取締役会において、これまで取り組んできた軽量フレキシブルな「ペロブスカイト太陽電池」の量産化開始を決議したと12月26日に発表。同製品の設計・製造・販売を行う新会社「積水ソーラーフィルム」を2025年1月6日付で設立する。資本金は1億円。株主は積水化学(86%)と日本政策投資銀行(14%)。

  • 積水化学工業が開発・量産技術確立に取り組んできた、フィルム型ペロブスカイト太陽電池

量産化にあたり、シャープが大阪・堺に保有していた本社工場棟の建屋や電源設備、冷却設備などを譲り受け、ペロブスカイト太陽電池の製造設備を導入して、製造拠点とする。シャープも同工場棟を積水化学工業に売却することで合意し、売却価額は250億円(帳簿価格134億5,900万円)と12月26日に発表している。

ペロブスカイト太陽電池は軽くて柔軟な新世代の太陽電池として注目を集めているもの。積水化学工業では2025年の事業化をめざしてGI基金を活用し、開発・量産技術確立に取り組んできており、一定の技術を確立したとして、2025年は現有設備で製造をはじめる方針だ。

当初は軽量フレキシブルの特長を活かし、耐荷重性の低い屋根や、災害時に避難所となる体育館など公共部門を中心に導入を進め、量産効果でコストを低減。民間の工場・倉庫等の屋根・外壁面もターゲットに需要創出を行い、事業拡大をねらう。

ペロブスカイト太陽電池の量産化における課題として、積水化学工業は製造コストの低減や、それを可能とする生産能力拡大を挙げている。経済産業省のGXサプライチェーン構築支援事業への採択が12月25日に決定したことを受け、同社が中心となり、政府がめざす2030年までの早期のギガワット(GW)級の供給体制構築の実現に向け、まずは2027年に100メガワット(MW)製造ライン稼働をめざして設備投資することを決めた。

今後も海外展開を視野に入れ、需要の獲得を進めながら段階的に増強投資を行い、2030年にはGW級の製造ライン構築をめざすとしている。