AGCは12月24日、カナダの気候変動関連スタートアップ「CERT systems」との間で、電気分解技術を用いたCO2を原料としたエチレンの製造検討に関する共同研究契約を締結したことを発表した。

  • 共同研究のイメージ図

    製品の原料をCO2由来エチレンに置き換える共同研究のイメージ図(出所:AGC)

樹脂材料であるエチレンをCO2由来に置き換える検討を開始

2050年のカーボンニュートラル実現に向けた革新技術として、CO2を回収・利用するCCU技術が注目されている。中期経営計画「AGC plus-2026において主要戦略の1つに“サステナビリティ経営の深化”を定めるAGCグループは、2050年のカーボン・ネットゼロを目標に掲げ、技術開発を進めている。

AGCが製造する塩化ビニル樹脂やフッ素樹脂は、その原料としてエチレンを使用することから、同社はエチレンをCO2由来のものに置き換える検討を進めるとする。エチレンをCO2由来で製造する際の主な反応方法としては、水素を利用した反応、電気分解による反応、光合成を利用した反応の3つが検討されており、中でも電気分解法は、CO2以外に必要とする原料が再生可能エネルギー由来の電気と水であるため、原料の調達利便性が高く、世界中で活発に研究が進められているという。

そこで今回同社は、電気分解法を対象としてCERTとの共同研究を開始。CERTは2020年にCO2電気分解技術を用いてエチレンを製造するパイロット実証実験に成功しているとのこと。今般の共同研究では、CERTの知見を活かしてCO2電気分解プラントの実用化に向けた検討を実施するといい、同技術に関するプロセスの検証や事業性評価などを、AGCグループの製造拠点と連携し進めていく予定だとする。

AGCグループは、CERTとの共同研究を通じて、CO2電気分解技術を用いたCCU技術の実現を目指すとしている。