堀場製作所は、レーザー回折および動的画像式の粒子径・形状解析装置「Partica(パーティカ)」を2025年1月6日に発売することを発表した。
この発表に際し同社は記者会見を開催。2方式の測定・解析が可能な新製品の開発に至った背景やターゲット市場、強みとする性能について説明した。
新たな事業セグメント全体にまたがるフラッグシップ製品
堀場製作所は2024年2月、同社が5年に1度発表している中長期経営計画の最新版「MLMAP2028」を発表し、事業セグメントを大きく変更することを明らかにした。新たな方針では、注力領域を「エネルギー・環境」「バイオ・ヘルスケア」「先端材料・半導体」の3つに設定。また開発部門をそれぞれの事業部門から独立させ、HORIBAが有する技術の出口を限定せず、新たな事業機会の発掘やイノベーションの創出などを目指したものだとする。
そして同社は今般、新たに設定された3領域すべてにおいて活用が期待されるフラッグシップ製品として、粉体などの形状把握に不可欠な粒子径・形状解析装置のParticaを発表した。同製品が解析対象とする粉体は、バッテリーや燃料電池、医薬品および化粧品、そして半導体材料などさまざまな分野において用いられ、製品の性能を大きく左右する。そうした背景から粒子を正確に測定する技術が求められており、粒子測定市場も年々規模を拡大していくことが予想されるという。
そのため堀場製作所は、先端材料の研究や品質管理の高度化において重要な粒子を“はかる”技術での貢献を目指し、新製品の開発に着手。粒子測定装置市場でおよそ40年にわたる販売実績を有する同社が培ったニーズを徹底的に追求し、今般Particaとしての発表に至ったとしている。
測定性能はもちろん高い拡張性で業務効率化にも貢献
新製品のParticaは、レーザー回折・散乱式による粒子径分布測定機能と、動的画像解析式による粒子形状の解析機能を、1台の装置で両立する点を特徴とする。堀場製作所 グループ戦略本部の森哲也マネジャーによると、前者の方式においては極めて高い精度での測定を実現し、測定レンジの広さも継承。さらに光学システムの改良により、高感度化も実現したという。そしてもう一方の動的画像式解析でも、高倍率カメラと低倍率カメラの搭載により、同社の従来製品に比べ50倍となるワイドレンジ測定が可能に。さらに1ピクセルあたり最小0.24μmという高解像度も備え、粒子の大きさや凝集状態など幅広い粒子形状を解析可能だとする。
なお2つの測定手法で同一箇所を同時に測定することが可能なため、粒子のサイズと形状の両方が重要となる医薬品開発現場では、生体吸収効率の検討を効率化できるとのこと。また生産性に影響する粉体流動性の解析が短時間化されるなど業務効率化にも貢献するといい、これまで2手法を異なる装置で測定していたユーザーにとっては、測定時間および省スペース化の面でもメリットを提供できるとしている。
またユーザビリティの面では、これまで同社製品で用いられてきたソフトウェアを刷新し、操作性や拡張性の高い新たなプラットフォームを構築したといい、遠隔操作や自動化、そして既存ラインへの組み込みなど幅広い利用が可能となったとする。加えてParticaではモジュール設計を採用したとのことで、ハード面でのカスタマイズ性を向上させるとともに、製品メンテナンスにおける作業者の負荷も低減されるとした。
今後重要性の高まる材料開発現場の効率化に貢献
堀場製作所によると、Particaの適用可能性について、高分子医薬品や半導体用研磨剤などさまざまな領域が想定されるとのこと。そして、同社がこれまで長年にわたって製品開発を行ってきた粒子径分布測定装置の知見と、新たに開発した動的画像式粒子形状解析技術、さらには今後の開発を見据えた拡張性を搭載したParticaの提供を通じて、材料開発の重要性が高まる今後の科学技術で不可欠な粒子解析技術の高度化を追求することで、持続可能な社会の実現を目指していくとする。
また堀場製作所でコーポレートオフィサーCTOを務める中村博司氏は、Particaの販売目標について、2029年3月期までに累計330億円以上の売り上げを見込むとともに、同製品を起点とする総合的なソリューションの提供を通じて、顧客の研究開発や品質管理における体制強化を後押ししていくとしている。