ミネベアミツミは12月17日、同社グループのエイブリックがノートPC向けセカンドプロテクトIC「S-82M3/M4シリーズ」ならびに「S-82L4シリーズ」の販売を開始したことを発表した。

セカンドプロテクトICは、外部信号によってヒューズを溶断させるプロテクションヒューズと組み合わせてリチウムイオンバッテリーの過充電の保護に用いられ、特にノートPCやタブレットPCでは、外部にPTCサーミスタを接続することで、バッテリーパックを異常温度から保護する機能やRTC(Real Time Clock)駆動用の定電圧出力機能を併せ持つことが求められているという。

同社が販売を開始した2シリーズはともに、過充電保護に加えて、PTCサーミスタを接続することで温度保護可能なCTL端子を搭載。さらに外付けのRTC駆動用の定電圧出力端子の両端子を1チップに搭載することで、1つのICで過充電保護と温度保護の実現が可能。また、DFN-8(2020)Aパッケージの裏面を端子として使用することで9端子のICを小パッケージに搭載しており、回路基板の省スペース化を図ることも可能としたという。

このほか、外付けRTCへ電源供給するための最小1.5Vまで選択可能な定電圧出力回路を搭載。PCのシャットダウン時であってもメインバッテリーから電源供給できるため、RTCバックアップ用のコイン型電池を不要とすることができるほか、電池電圧がシャットダウン電圧を下回ると同回路は動作を停止し、IC自体は低消費電流モード(S-82L4シリーズでは0.4μA max.)となり、消費電流を低減することが出来るという。

また、S-82M3/M4シリーズは、3セル直列用がS-82M3シリーズ、4セル直列用がS-82M4シリーズという分類で、電池パック組み立て時の製造工程でのプロテクションヒューズ溶断を防止するウェイクアップ機能を搭載(S-82L4シリーズはウェイクアップ機能は非搭載ながら、3セル/4セル直列両方に対応可能なシリーズとなっている)。

なお、同社ではCTL端子が非搭載でウェイクアップ機能を搭載している「S-82K3B/K4Bシリーズ」、ならびに3-4直列両用の「S-82H4Bシリーズ」も同じ仕様にてラインナップしており、エイブリックでは、今後もリチウムイオンバッテリー保護ICのさらなる高精度化・高機能化を目指すのと並行して、多くの分野のアプリケーションに対応できる製品展開を図っていくとしている。

  • セカンドプロテクトIC「S-82M3/M4シリーズ」ならびに「S-82L4シリーズ」

    セカンドプロテクトIC「S-82M3/M4シリーズ」ならびに「S-82L4シリーズ」の概要 (出所:ミネベアミツミ/エイブリック)