シーメンスヘルスケアは12月9日、リアルタイム3Dに対応した心腔内エコー用カテーテル「AcuNav Lumos 4D ICE(アキュナビルモスフォーディーアイス)」を同日より発売することを発表した。

  • 新製品の「AcuNav Lumos 4D ICE」

    シーメンスヘルスケアが発表した「AcuNav Lumos 4D ICE」(出所:シーメンスヘルスケア)

低侵襲な心疾患治療法として期待を集める心腔内エコー

65歳以上の人口が世界的に増加するのに伴い、構造的心疾患の数は急速に増加ており、それらに対するカテーテル治療は、新たな治療法やデバイスによって今後は年平均9.15%で成長すると予測されている。

実際にこれまで、2013年に日本でも導入された経カテーテル的大動脈弁植え込み術(TAVI/TAVR)や、2020年に始まった僧帽弁閉鎖不全症(MR)に対するクリップを用いたカテーテル治療などは、導入以降数年の間に4倍以上の実施件数となるなど、カテーテルデバイスを用いた低侵襲治療への関心が高まっているという。

心疾患治療のための術中超音波ガイドには、経胸壁エコー(TTE)、経食道エコー(TEE)、心腔内エコー(ICE)があり、そのうちICEは、先端に超音波を送受信する素子を内蔵したカテーテルを血管内や心腔内に挿入して心臓や血管を観察する手法である。これはほかのエコー手法では描出しづらい領域も描出しやすく、心臓の詳細な画像が必要な構造的心疾患治療での使用についても注目されているとする。

また、全身麻酔を必要とするTEEに対し、ICEは局所麻酔下での実施が可能であるため、高齢者や小児など全身麻酔のリスクが想定される場合の心疾患治療において、患者の身体的負担や麻酔医による治療中の管理負荷低減に貢献するとともに、全身麻酔のリスクから心疾患の治療が難しかった患者にも治療機会を提供できるとのことだ。

リアルタイム3Dエコーへの対応で治療の可能性拡大に貢献

今回発売されたAcuNav Lumos 4D ICEは、従来の心腔内2Dエコー用カテーテル(2D ICE)と比較して、3D表示や同時に表示できるエコー断面の増加により、治療医や超音波術者の解剖学的構造の解釈を容易にするとのこと。また今まで心腔内エコーが使用されてこなかった治療法での使用も期待されるとする。

  • 新製品による左心耳と三尖弁の表示

    (左)左心耳の3D表示(3D計測機能)。(右)三尖弁のMPR biplane表示(2D+カラーモード)(出所:)

さらにシーメンスヘルスケアは、同社が2024年4月に発売した超音波画像診断装置「ACUSON Origin」と接続して使用することで3Dの心腔内エコーが可能になるとしており、リアルタイムな3Dエコー画像によって、これまで観察が難しかった心血管の解剖学的構造を視覚化するとした。また、3Dのカラードプラ表示が可能で、血流の位置や方向、速度を把握することで、心血管の機能評価をサポートするという。

同社は、リアルタイム3Dに対応した心腔内エコー用カテーテルの提供により低侵襲な心疾患治療を実現し、患者の身体負荷軽減に加え、新たな治療機会の提供にも貢献するとのこと。またICEはカテーテル室での治療が可能になることから、検査の所要時間および入院期間の短縮によって潜在的なコスト削減を提供し、治療の効率性向上も期待されるとしている。