独DeepLは11月13日(現地時間)、音声翻訳ソリューション「DeepL Voice」の提供開始を発表した。グローバルでの提供開始に伴い、同社は日本で11月26日にメディア向けの説明会を開いた。

  • 説明会の様子

    説明会の様子

2つの音声翻訳機能を提供

今回発表した音声翻訳ソリューションは、「DeepL Voice for Meetings」と「DeepL Voice for Conversations」の2つのモデルを展開する。DeepL Voice for MeetingsはMicrosoft Teamsと連携し、オンライン会議でのコミュニケーションを促すことを目的に開発された。会議参加者はそれぞれ異なる言語で発言できる。発言内容は即時に翻訳され、他の参加者はキャプションをリアルタイムに受信できる。

  • DeepL Voice for Meetingsの画面例

    DeepL Voice for Meetingsの画面例

製品担当副社長(VP of Product)のChristopher Osborne(クリストファー・オズボーン)氏は「(発表時点では)6人の会議参加者がそれぞれ異なる母国語で話すシチュエーションであれば、難なく対応できる」と説明。

  • DeepL 製品担当副社長 Christopher Osborne氏

    DeepL 製品担当副社長 Christopher Osborne氏

DeepL Voice for ConversationsはiOSおよびAndroidのモバイルデバイスで利用でき、1対1の対面での会話を翻訳しキャプションを表示する。スマホアプリを使用して音声入力すると、翻訳結果が端末に表示される。

  • DeepL Voice for Meetingsの画面例

    DeepL Voice for Meetingsの画面例

DeepL Voice for MeetingsおよびDeepL Voice for Conversationsはどちらも、音声入力として英語、ドイツ語、日本語、韓国語、スウェーデン語、オランダ語、フランス語、トルコ語、ポーランド語、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語、イタリア語の13言語に対応。一方、翻訳結果の出力はDeepL翻訳がサポートする33言語すべてに対応する。

言語の壁によって約3割の時間が無駄に

DeepLの創業者でCEOを務めるJaroslaw Kutylowski(ヤロスワフ "ヤレック"・クテロフスキー)氏は、ビジネスにおける言語の障壁について紹介した。同氏によると、日本では業務内で週に1回以上英語を使用している人の割合が60%以上で、そのうち56%が英語での会話に課題を感じているという。また、発音への苦手意識から自信を持てない人は64%とのことだ。

ビジネスのグローバル化が進む中、別の調査結果によると、異なる言語でのコミュニケーションにおいては詳細な理解に至らないといった理由から34%の時間が無駄になっている。言語の異なる相手に伝わっていない内容は39%にも達するとのことだ。認識の相違により手戻りや確認の手間が発生する要因となっている。

Kutylowski氏は「DeepL Voiceは当社の翻訳AIプラットフォームを強化し、『言語の壁が無い世界を作る』という私たちのビジョンに近付くための一歩となる。1年後には今日のような記者説明会も、人による同時通訳ではなく当社のソリューションを通じて内容を聞いてもらえるだろう」と展望を示した。

  • DeepL 創業者 兼 CEO Jaroslaw Kutylowski氏

    DeepL 創業者 兼 CEO Jaroslaw Kutylowski氏