TrendForceによると、最新の2024年グローバルSiCパワーデバイス市場分析レポートに基づくSiCパワーデバイス市場規模は、自動車や再生可能エネルギーでの普及がけん引役となり、2028年までに91億7000万ドルに成長すると予測されるという。
技術面では8インチ化がホットな話題の1つとなっており、同社では6インチから8インチにアップグレードすると、プロセスコストは増加するものの、結果としてチップの取れ数が約1.8倍に増加することから、8インチへの移行に伴うデバイスコストの低減が期待できるようになるとしている。
そのため、材料(基板/エピ)、チップ/モジュール、機器メーカーなど、SiCサプライチェーンの上流から下流に至るメーカーすべてが8インチへの対応に注力しており、急速な浸透を促している。
出遅れた中国勢がグローバルに挑む基板材料
SiCサプライチェーンにおいて、上流の基板材料の性能と歩留まりが、中流以下に位置づけられるデバイスとアプリケーションが市場の需要を満たすことができるかどうかを決定する要因となることから、多くのSiCメーカーが8インチSiCウェハ材料の研究開発と拡張を加速している。
すでに一部のグローバルメーカーは先行者利益を得る段階にあり、8インチへの移行を迅速に進めている。現在までにWolfspeedを筆頭に、ローム、Coherent、Soitec、住友金属、レゾナック、日本ガイシなどのメーカーが8インチのSiCウェハ/エピタキシー分野で前向きな進歩を遂げている。
一方、中国SiCメーカーは比較的遅れてており、依然として国際的な先端レベルに達していない。しかし、新エネルギー車(NEV)、再生可能エネルギー、鉄道輸送、産業などの最終用途からの需要に後押しされる形でグローバルメーカーを追撃する研究開発を加速しており、中でも基板/エピタキシー分野では、中国地場メーカーの中からグローバルメーカーと真っ向から競争しようというところもでてきているという。
また、デバイス分野もSTMicroelectronics、Infineon Technologies、onsemiといった企業が強みを出しており、中国勢はキャッチアップを急ぐ動きを見せているほか、製造装置については、Aixtronなどのグローバルメーカーが強みを発揮する一方で、中国の製造装置メーカーも技術研究開発と市場拡大に向けた取り組みを継続しており、成長が続いているという。
なお、すでに多くのSiCウェハメーカーが8インチの生産に成功したとしているが、実際の8インチSiCウェハベースのパワーデバイスは現状で市場の2%未満のシェアにとどまっている。同社では2027年までに約20%まで成長すると予測しているが、これは6インチから8インチへの代替にはまだしばらく時間がかかることを意味するとしている。