サイボウズは11月7日、8日の2日間、幕張メッセ(千葉市)でプライベートイベント「Cybozu Days 2024」を開催した。2日目には、同社のエバンジェリスト 渋谷雄大氏が登壇する「超定番がわかる!kintone プラグイン・連携サービス 入門セミナー」が開催された。
渋谷氏は、プラグインや連携サービスのメリットについて、次のように説明した。
「kintoneは、マウスでシュシュッと作れるだけではなく、開発もできる環境です。プログラミングができる方は自身でアプリを作れますが、自分たちで作っていると、メンテナンスも自分でやらなければいけなくなり、時間やコストもかかってきます。それをパッケージとして提供するのが、プラグイン・連携サービスです」
プラグイン・連携サービスは、kintoneのサイトで300本以上紹介されているが、渋谷氏は、帳票、表示、外部とのデータのやりとり、アプリ間データ統合、機能付加の5つのカテゴリで、おすすめのプラグイン・連携サービス14本を紹介した。
帳票のプラグイン
帳票のプラグインでは、「プリントクリエイター」(トヨクモ)と「レポトン」(ソウルウェア)の2本が紹介された。
(1)プリントクリエイター
「プリントクリエイター」は、kintoneに登録されているレコードを、見積書や請求書などの帳票として出力することができるサービスだ。QRコードや画像、バーコードも出力可能で、価格(税別)は月額1ドメイン当たり7000円からとなっている。
設定は普段使っている帳票をPDF形式でアップロードし、それにkintoneの項目を割り当てていくことで出力が行える。作成した帳票は、各レコードに自動保存できる。
「今まで使っていた帳表をPDF形式でアップしてマッピングしていくことで、帳表の出力ボタンが作れるというのがプリントクリエイターというサービスです。本当にシンプルで、いろいろな見積書や契約書、請求書などを作成できるので、帳票を自分たちのフォーマットで出したいときに、選択肢に入るサービスです」(渋谷氏)
(2)レポトン
一方、レポトンは見積書、請求書など、kintoneのデータを自由なフォーマットで帳票出力できるサービス。個別出力はもちろん、一括出力や宛名ラベルの出力も可能。kintoneのデータを一覧リストとしてPDFのほか、Excelにも出力できる。作成した帳票は自動でkintoneやドライブなどに格納される。価格(税別)は月額1万5000円。
設定は、手持ちのPDF/Excel形式のフォーマットをアップロードし、データの出力箇所をマウス操作で選択。出力したいkintoneのデータ(フィールド)をひも付ける。
「普段、Excelを使って帳表を出力している方は、Excelをそのまま使って差し込んでいけるのがレポトンというサービスになっています」(渋谷氏)
表示をリッチにするプラグイン
kintoneの表示をよりリッチにするプラグインとしては、「タブ表示プラグイン」(ジョイゾー)、「Krewsheet」(メシウス)、「カレンダーPlus」(ラジカルブリッジ)、「krewDashboard」(メシウス)の4つが紹介された。
(3)タブ表示プラグイン
タブ表示プラグインは、フィールドをタブ表示にして、kintoneデータをタブで切り替えられるようにするサービス。ユーザー、組織、グループごとに、初期表示させたいタブを任意で設定することができ、タブごとにユーザー、組織、グループごとにタブの表示・非表示のアクセス権を設定できる。価格(税別)は、月額プランの場合、3900円/サブドメイン。
「会社情報や連絡先情報のように、データがたくさんあると整理できなくなってくるときに、タブできれいに分けることができるサービスです。タブで整理することで、必要なものだけをシンプルに出せるというのが、タブ表示プラグインです」(渋谷氏)
(4)Krewsheet
Krewsheetは、Excelライクに表示/編集できるようにするプラグイン。一覧のインライン編集、複数セルのコピー&ペースト、ショートカットキーなどの基本操作に加えて、行列の固定、数式、条件付き書式、検索&置換など、Excelと同等の機能を備える。価格(税別)は、月額プランの場合、ドメイン当たり2万3000円から(100ユーザーまでの場合)。
「Excel好きな方は条件付き書式が扱えます。こうした設定がExcelのようにできるので、まとめてデータ編集する際に、便利なサービスになっています」(渋谷氏)
(5)カレンダーPlus
そして、カレンダーPlusは、kintoneにカレンダー機能を追加するプラグイン。月別・週別・日別表示や色分け表示で直感的なスケジュール管理が行え、社内スケジュール管理、店舗の予約管理、会議室予約などで利用できる。価格(税別)は、カレンダーPlus Basicの場合、3万9800円から。
「予定をマウス操作で変更したり、時間を伸ばしたり、施設の予約も予定に合わせて会議室を予約したり、社用車を予約したり、こういったことがkintoneでできるようになっています」(渋谷氏)
(6)krewDashboard
krewDashboardは、グラフとピボットテーブルで複数アプリのデータをダッシュボードとしてリアルタイム表示できるサービス。任意のグラフの値や凡例を基準に、複数のグラフデータを相互にフィルタリングでき、親子関係で構成されるデータを概要から詳細へ掘り下げ、ドリルダウンして分析することもできる。また、グラフとピボットテーブルの任意のフィールドを使用して、数式を設定できる。
価格(税別)は、月額プランの場合、ドメイン当たり1万2000円から(シンプルエディションの場合)。
「みなさんがほしいダッシュボードを、みなさんの手でどんどん作っていけます。元々あるkintoneのデータをグラフィカルに表示できるのがkrewDashboardというサービスになっています」(渋谷氏)
外部とのデータのやり取りをするプラグイン
外部とデータのやり取りを行うプラグインについては、「フォームブリッジ」(トヨクモ)、「kViewer」(トヨクモ)、「kMailer」(トヨクモ)という3つのサービスが紹介された。
(7)フォームブリッジ
フォームブリッジは、kintoneとWebフォームを連携できるサービス。アンケートフォームや申込フォームに入力された情報を、kintoneに自動で入力できるというもの。
マウス操作のみでWebフォームの作成が完成し、選択した内容によって項目を出し分ける機能や複数ページにまたがるフォームを作成できる機能、フォームに登録したメールアドレス宛に回答内容を送信する機能など、用途に応じて、多種多様なWebフォームを作成できる。価格(税別)は月額7000円~/ドメイン。
「グラフを出したり、メールと組み合わせてお客様にキャンペーンメールを送ったりといったことをkintoneで管理できます。フォームのURLが発行されて、あとはアンケートフォームとして案内したり、QRコードを作ったりすれば、データ入力に使えるというのがフォームブリッジになります」(渋谷氏)
(8)kViewer
kViewerはkintone内の情報を、ライセンスを保有していない外部の人に公開するためのサービス。kintoneのデータをそのまま表示できる。アクセスは、公開期間、IPアドレス、簡易認証(ID/パスワードなど)で制限をかけることができる。ダッシュボードビューを利用すると、簡単にグラフや表を組み合わせたビューも作成できる。価格(税別)は1ドメイン当たり月額7000円から。
「kintoneのデータをCSV形式で出すこともできますが、Webに出したい場合などに便利なのがkViewerです。商品一覧のURLを代理店に送って『ここで見てください』と連絡できます。商品名をクリックすると詳細の情報も出せます。kintoneのデータを外部に公開できるサービスになっています」(渋谷氏)
(9)kMailer
kMailerは、kintoneで管理している詳細情報を引用しながら、メールを送信できるサービス。kintoneで管理している顧客のメールアドレスに、kintoneのデータを活用してメールを送信できる。毎月の請求書やメールマガジンのような一斉送信が可能で、添付ファイル、日時を指定してメール送信を行うことも可能。価格(税別)は1ドメイン当たり月額1万8000円から。
「全体にキャンペーンメールを送ったり、一部のお客様に絞り込んでメールを送信したりすることができます。他にも開封のチェックを行えるのが、このkMailerというサービスになっています」(渋谷氏)
アプリ間のデータを統合するプラグイン
アプリ間データ統合では、「DataCollect」(トヨクモ)と「krewData」(メシウス)という2つのサービスを紹介した。
(10)DataCollect
DataCollectは、kintone内に散在するデータを、Excelのように集計できるツール。集計を実行する時間を指定したり、リアルタイムに自動実行させたりすることも可能。
「どこにあるデータを、どのように計算・加工するか」を指示するための「フィールド式」を、Excelの関数や数式と同様の手順で作成でき、毎日何時に、毎週何曜日に、月末にといった、時間指定実行のスケジュールを柔軟に設定できる。価格(税別)は、月額9000円から。
「他のアプリからの情報をまとめて集計することができるのがDataCollect。アプリ同士でデータを受け渡したい、しかも集計したいというときにおすすめです」(渋谷氏)
(11)krewData
krewDataは、kintoneアプリ間のデータをノンプログラミングで集計できるプラグイン。CSVファイルやExcelファイルを所定のクラウドストレージにアップロードするだけで自動的にkintoneへのデータ取り込みができる。
スケジュールされたタイミング、アプリにレコードを追加したタイミングなど、業務シーンに応じたタイミングで集計処理を自動実行できる。価格(税別)は、月額の場合、ドメイン当たり1万2000円から。
「1つ2つのアプリからデータを取ってきて、3つ目のまとめるアプリに全部反映してくれる。こういうことができるのがkrewData。Kintoneのデータをまとめたいというニーズは出てくるので、シンプルに集計したい、計算したいというときにDataCollectがうってつけです。さらに、複雑にマッピングして作りたい時にも便利です」(渋谷氏)
機能をいろいろ付加するプラグイン
機能付加のためのプラグインとしては、「自動採番プラグイン」(ジョイゾー)、「ATTAzoo+」(JBアドバンスト・テクノロジー)、「gusuku Customine」(アールスリーインスティテュート)の3つが紹介された。
(12)自動採番プラグイン
自動採番プラグインは、複数フィールドやテーブルへの自動採番、レコードの登録状況に合わせた独自の採番ルールでの自動採番、一覧からの一括自動採番などを実現。任意のテキストや日付を組み合わせた採番だけではなく、年や月、年度ごとに採番をクリアさせるなど、独自の採番ルールでの自動採番が可能。
1レコード内に、顧客IDや見積番号、請求番号など、業務に不可欠でかつ重複不可の採番が必要なフィールドが複数ある場合にも、それぞれの項目に設定した独自形式で自動的に採番できる。価格(税別)は、月額プランの場合、サブドメイン当たり3900円。
「桁数を何桁にする、テキスト+日付+連番みたいに組み合わせることもできるようになっています。条件を設定して、ステータスが受注になったら採番するという設定ができるのが、このプラグインの良いところです」(渋谷氏)
(13)ATTAZoo+
ATTAZoo+は、自動採番やレコード一括更新、ステータス更新、ドロップダウン階層絞り込みなど、16機能のkintoneのプラグインセット。
フィールドの非表示、編集不可、入力必須の制御、自動採番、入力フォームの表示制御/入力制御、絞り込んだレコードの項目一括更新、ドロップダウン階層絞り込み、指定した条件値によって、文字色や背景色の設定などが行える。価格(税別)は、年額で3万6000円(30ユーザー)から。
「例えば、FAXや電話番号に大文字の数字やハイフンが入った時にエラーを出したり、前の設定に合わせて下の階層のドロップダウンの内容を変えたりする。こういったよく使う機能がセットになっています」(渋谷氏)
(14)gusuku Customine
最後に紹介するgusuku Customineは、自分たちで機能拡張を作っていけるサービス。
「入力を間違えないように吹き出しの設定をしたり、(株)と入力すると勝手に株式会社に変更したりするといった表記のゆれを防ぐ設定もできます。やりたいことが全部まとまっていて、それをいつ実行するのかという組み合わせで、みなさんが機能を作れます。自分たちでどんどんカスタマイズできるサービスが、gusuku Customineになります」(渋谷氏)
価格(税別)は、月額プランで1万8000円から。
渋谷氏は、「データをkintoneに入れて連携していくと、シームレスにシステムを組み合わせられるようになっています。kintoneをハブにして、いろいろなシステムとつながって便利な使い方ができる点が特徴です」と、Kintoneのメリットをアピールして、講演を終えた。