MonotaROは11月8日、顧客の利便性向上に向けた同社の取り組みに関するプレス向け説明会を開催。同社執行役でオペレーション管掌 物流部門長を務める北下浩市氏が登壇し、12月および2025年3月に対象地域の拡大を予定している「当日出荷締め切り時間延長」サービスについて、その狙いや実現手法を説明した。
間接資材購買の利便性最大化を目指すMonotaRO
“資材調達ネットワークを変革する”という企業理念を掲げるMonotaROは、ネットストア「モノタロウ」を通じた間接資材購買事業を展開。従来は購入のたびに生じていた見積もりや価格交渉、発注などの作業コストを削減し、最短翌日という短納期での納品を実現している。同社はこの事業について、テクノロジーとデータを活用することで、価格透明性があり、必要なものがそろっていて、そしてすぐ購入できるという調達プロセスを実現し、“時間資源”を提供するとしている。
北下氏はMonotaROが目指す姿として、注文から出荷や配送、そして受け取りまでのすべての過程で顧客の利便性を最大化することを挙げる。特に、注文の段階では納期の精度向上を、出荷の段階では納期短縮を追求し、受け取りの利便性向上にも取り組んでいくとする。
2024年現在は特に受け取りの利便性向上に貢献する取り組みが進められており、これまで一部地域・ユーザーのみ利用可能だった置き配サービスの対象を、5月より全国および一般消費者にまで拡大。また配送日時の指定についても対応範囲を広げており、8月以降は出荷後に配送日時指定が可能な顧客の範囲を拡大したという。
当日出荷の締め切り時間を2時間延長 - 対象地域も拡大予定
そして今回の説明会におけるメイントピックだったのが、当日の出荷締め切り時間延長サービスだ。9月10日より南関東の4都県で開始された同サービスは、これまで15時が締切時刻となっていた注文品の当日出荷について、その締め切りを17時まで延長するもの。このサービスの対象商品は在庫商品およそ59.1万点のうち99.5%以上に上るといい、必要な間接資材を15時以降に発注する顧客など、多くのニーズに対応するものだとする。
さらに、今後このサービスは対象地域を広げていく方針であり、12月には関西地域、そして2025年3月には一部地域を除く全国で対応を開始する予定だとしている。
北下氏は今回のサービス拡充により、商品を顧客のもとへより早く届けられるようになることでの満足度向上に加え、現状15時以降の注文において別の購買方法を用いている顧客を獲得し、売り上げの伸長にも貢献できるとした。
物流拠点への積極投資と運用強化でサービスを改善
このサービス拡充が実現した背景にある要因として、北下氏は自社物流拠点の強化およびオペレーションの改善を挙げる。
現在MonotaROは、茨城県に2か所(笠間DC・茨城中央SC)、兵庫県に1か所(猪名川DC)を保有し、2028年5月稼働開始に向け新拠点「新関東DC」の開設準備を進めている(DCは「ディストリビューションセンター」、SCは「サテライトセンター」を指す)。
このうち猪名川DCは、それまで運用を行っていた尼崎DCを前身として誕生し、2022年に稼働を開始。業務移管に際しては物流機能の高度化および省人化を進めるため、積極的な設備投資を行ったといい、自動棚搬送ロボットの導入や、尼崎DCでは散在していた倉庫機能の集約などによって、作業効率化を推進しサイクルタイムを大幅に短縮したとしている。
“運送業界を苦しめない”物流サービス強化に注力
猪名川DCに限らず、その他の拠点でも設備投資や運用改善を続け物流機能を強化してきたMonotaRO。さらに今回の当日出荷締め切り時間延長に向けては、出荷作業が特に増加する夕方の時間帯における作業スタッフを増員するなどの施策を行うとともに、リードタイム短縮に向けて運送事業者とも連携し、商品の引き渡しから配達までに要する時間を短縮する取り組みを強化したとのことだ。
ただし北下氏は、こうしたサービス強化における重要な点として、「運送業界の負荷を上げるのではなく、社内での取り組みによって成し遂げることを目指した」と話し、2024年問題に象徴される人手不足問題が顕在化している中、持続可能な形で便利なサービスを提供できるよう取り組みを進めていくとした。
なお北下氏によると、すでに一部地域で開始した当日出荷締め切り時間延長サービスについて、提供地域では15時~17時の時間帯における注文回数が増加するなど、効果を実感しているとのこと。しかし「まだサービス自体は始まったところであり、顧客の方々に知ってもらう、使ってもらうための機会創出が足りていない」と現状を分析し、認知拡大が進むことで事業面でもさらに大きな貢献が生まれていくとしている。