ファーストリテイリング、売上3兆円突破で絶好調も「ユニクロ」EC売上は微増 リアル回帰でEC化率はマイナスに

ファーストリテイリングは10月10日、2024年8月期の連結業績を発表した。売上収益は前期比12.2%増の3兆1038億円、営業利益は同31.4%増の5009億円、当期利益は同25.6%増の3719億円だった。

売上収益は3兆円、営業利益は5000億円を初めて超え、過去最高業績を達成した。今年7月に発表した業績予想に対しては、国内ユニクロ事業、海外ユニクロ事業が好調で上回ることができたという。

<ユニクロのEC売上は2.3%増の1369億円>

一方、国内ユニクロ事業におけるEC売上高は、同2.3%増の1369億円と微増にとどまった。EC化率は同0.3ポイント減の14.7%となった。2023年8月期のEC売上高の前期比増減率も2.3%増だった。アフターコロナでリアル回帰が進む中、EC事業の成長は鈍化傾向にある。

ジーユー事業のEC売上高は同約8%増だったという。EC化率は約12%となった。EC化率から換算したEC売上高は約382億円となる。

ジーユーは米国に海外初の旗艦店を開設し、現地ECサイトも出店している。グローバルでのオフライン、オンラインの展開も強化する。

<柳井会長「数年で売上5兆円へ、人材が最重要」>

ファーストリテイリング 代表取締役会長兼社長 柳井正氏は、「毎年5000億円ずつ売り上げを伸ばしていくと、数年のうちに売上高5兆円に届く。世界市場の環境や会社の潜在力はそれが可能なステージに来ている。その先、さらに10兆円を目指し、将来に向けての具体的な計画と準備を進めている。今後の成長においても最も重要なことは人材の投資だ」と話す。

▲ファーストリテイリング 代表取締役会長兼社長 柳井正氏

ファーストリテイリング グループ上席執行役員 兼 ユニクロ 代表取締役 社長兼COOを務める塚越大介氏が、経営の質を高めるための重点的な取り組みを紹介した。

重点施策として、①人材の厚みが成長の原動力 ②グローバルワン・全員経営 ③LifeWearの進化 ④ブランド認知度の向上 ⑤地域の人と協業して、共に栄える――の5つのテーマを掲げた。

「グローバルワン・全員経営」では、2023年に経営コックピットという全社プラットフォームを立ち上げ、ここ1年間で働き方の改革を推進してきたという。

▲ファーストリテイリング グループ上席執行役員 兼 ユニクロ 代表取締役 社長兼COO 塚越大介氏

塚越氏は、「経営コックピットで世界中の店舗・ECのSKU単位の売上、倉庫・店舗の在庫数、人時生産性、PL、先の計画数値など、リアルタイムで確認できるようになっている。1日に何度も確認しながら、個人の経験で判断するのではなく、数字に裏付けされた異常値を発見し、課題やチャンスを特定して、即断、即決、即実行で商売を実施していく。この取り組みが、お客さまから寄せられるご不満の声の減少、個別店舗ごとの在庫管理の精度向上につながっている」と話す。