Domoは10月9日、年次カンファレンス「Domopalooza Japan2024」を開催した。「データ+AI、進化した組織の旅へ」をテーマに行われた今年は、日本の玄関である羽田空港の第3ターミナルに直結しているベルサール羽田空港にて行われ、各業界のリーダーが組織全体でのAI、データ活用の取り組み事例、人材育成戦略を語った。
最初に行われた基調講演「データ+AI、進化した組織の旅へ」には、Domoの創業者 兼 CEOのジャシュ・ジェイムズ氏とドーモ プレジデント ジャパン カントリーマネージャーの川崎友和氏が登壇し、同社の事業戦略を語った。
Domoのグローバル戦略
初めに登壇したジェイムズ氏は、アメリカのメジャーリーグで活躍する大谷翔平選手の名前を挙げ、「誰もが彼の二刀流を無理だと決めつけていた。しかし、実際にはどちらも素晴らしい結果を出している。チャレンジする前からできないと考えるのは危険だ」と語り、特にAIの進化が目覚ましいテクノロジーの領域では、何事も「できるかもしれない」とチャレンジを続けるべき、と語った。
そのような考えから、Domoはチャレンジを続け、進化する企業としての戦略に取り組んでいる。
ジェイムズ氏は、グローバル戦略における戦略的イニシアチブとして、「プロダクト主導の成長」「エコシステムの1年」「AI」という3点を挙げた。それぞれのポイントは以下の通りだ。
プロダクト主導の成長
- 無料でユーザー数無制限
- 機能の発見しやすさとセルフサービスが鍵
- 価値に見合ったコスト
エコシステムの1年
- 新たなビジネスチャンスのアクセス
- 自由で柔軟なパートナーシップ形態
- ビジネスを効率的に拡大
AI
- AIを活用したデータとの会話
- 誰でも使えるユニバーサルモデル
- 自由なAIモデル選択
日本における2024年のテーマは「データ+AI 進化した組織の旅へ」
続いて登壇した川崎氏は、日本におけるドーモの戦略を語った。
2023年は「データの解放、進化する組織へ」というテーマを掲げ、事業展開を行ってきたドーモだが、2024年は「データ+AI 進化した組織の旅へ」というテーマを掲げている。このテーマには、「全社データ活用の徹底的な推進」と「組織、人、オペレーションの変革」を行うという意味が込められているという。
このテーマを掲げている背景には、日本のデジタル化の遅れが関係しているという。
「DXを推進する人材が充足していると回答した企業」の調査では、アメリカが73.4%だったのに対し、日本はわずか10.9%となっている。また、64カ国を対象に行われた「世界におけるデジタル競争力」について、日本企業は「デジタル/技術的スキルの可用性」が63位、「企業の俊敏性/ビッグデータとアナリティクスの活用」が64位と、いずれも低い順位となっている。
川崎氏は、「点在したデータの管理」「利用ユーザー数の拡張」「データ人材不足」「定着までのプロセス」という4つの全社データ活用の課題を挙げ、これら解決のために「パートナーエコシステム」「コンサンプションプライシング」「人材育成プログラム」「アダプションフレームワーク」という4つの事業戦略と「DOMO.AI」でデータ活用を強力に推進していくと説明した。
パートナーエコシステムについては、各種クラウド基盤とのプラットフォーム連携を進め、コンサンプションプライシングではユーザー数無制限の利用量ベースの課金モデルを構築する。
また人材育成プログラムでは、「人材育成がデータ民主化の要」とした上で、企業のデータ活用を失敗させない新たな役職として「データアンバサダー」の存在を推奨し、レベルに応じた研修設計や人材育成の目標を設定している。
アダプションフレームワークでは、全社展開仕組化モデルに準拠した「アセスメント→計画策定→実行管理」までを一気通貫で行い、効率的な全社展開とデータ活用人材の定着化を実現しているという。
また、ユーザーが使いやすいセキュアなAIとしてDomo.AIを提供し、機械学習や外部・独自のLLM(大規模言語モデル)などを適切に管理・機能させ、AIの価値を最大化させていく構えだという。
川崎氏は、最後にテーマである「データ+AI 進化した組織の旅へ」という言葉を踏まえて、「Domoとさらなる進化の旅をしましょう」と基調講演を締めくくった。