識学は9月25日、20〜50代の会社員を対象に実施した「企業のDXに関する調査」の結果を発表した。DX=デジタルトランスフォーメーションについて「知らない」と回答した人は50.8%、勤務している会社のDX導入率は22.9%であった。
「デジタルトランスフォーメーション(DX)」について、どの程度理解しているのかを聞いたところ、「知らない」が50.8%で過半数を超えた。「名前を知っている程度」が36.0%、「理解しており、具体的に説明できる」という回答は13.1%であった。
また、「企業のDX」と聞いて思い浮かべること・言葉を自由回答で尋ねると、ほとんどの人が「わからない」と回答したが、IoT、ChatGPT、Itmps、SaaS、RPA化、電子カルテ、請求書等の電子化などのワードが挙がったという。職業別の回答では、ソフトウェア・情報サービス業で具体的なシステムに関するワードが挙がり、医療関係者は「電子カルテ」、製造業は「請求書の電子化」が挙がった。そのほか、「AIが人間の仕事を取り去ってしまう。人間全員、解雇」といった回答もあった。
勤務先の会社でDXを導入・活用しているしているか尋ねると、「わからない」が52.1%で過半数を超え、「導入している」は22.9%、「導入していない」は25.0%であった。勤務先でDXを導入・活用しているものを聞くと、「人工知能(AI)・機械学習(ML)」が最も多く31.0%。次いで、「クラウドコンピューティング」が30.7%、「ビッグデータ分析」が22.0%、「IoT(モノのインターネット)」が21.7%と続いた。
次に、勤務先でDXを導入している人に、DXによって業務プロセスにどのような変化があったかを聞くと、「業務が効率化された」が70.6%で最多。次いで、「コスト削減できた」51.7%、「従業員の働き方が改善された」28.0%となった。具体的な成功事例としては、「申請業務をすべてシステム化したことで、ペーパーレスと業務効率化を実現した」。(58歳金融業)、一方の失敗事例としては、「AI、ブロックチェーンを活かしきれておらず、投資効果を得られていない。」(53歳女性・保険業)などの声があった。
DXの成果に関する評価は、「成果があった」が65.0%、「どちらとも言えない」が30.8%、「成果はなかった」が4.2%と、DXは概ね成果があったと見られる。
また、DXにおける課題について、導入している企業は「技術的な専門知識の不足」が43.4%、「コストの高さ」が35.7%、「セキュリティリスク」が35.0%。一方、導入していない企業では、「コスト」が33.8%と最大の障害で、「経営層の理解不足」と「技術的な専門知識の不足」がともに20.4%となった。
DXであるかどうかに関わらず、業務で使われているデジタルツールについて尋ねると、「オンライン会議ツール」(50.3%)が最も多く、次いで「オンラインチャットツール」(38.7%)、「クラウドサービス」(34.3%)、「オンラインスケジュール管理システム」(29.3%)が挙がり、具体的なDXが進んでいない企業でも、デジタルツールの導入は多くの企業で行われていることが確認された。
DXにより業務の効率化やコスト削減が進んでいる一方で、「開発費やコストの検証」「DXされた技術を扱える人材の教育・継承」が課題として挙がった。また、多くの企業がDXの定義や導入状況を「理解していない」と回答していることから、「DXに対する理解不足」も大きな課題となっている。
経済産業省は、1980年代に導入されたレガシーシステムの問題を「2025年の崖」として警告しており、2025年までにDXが進まなければ、企業は大きな経済損失を被る可能性があるという。企業の発展においてDXは不可欠であり、DXの本質的な理解を深め、自社での活用方法や成果を検証して導入を検討することが必要であると、識学は指摘する。