明治は9月24日、知的財産は経営資源として重要であるとして、代表的な知的財産の一つである商標権によって、同社の看板商品「きのこの山」を保護する知的財産活動について伝えた。
「商標権とは」
書籍や漫画などを保護する著作権は有名だが、商品やサービスに付ける「マーク」や「ネーミング」を財産として守る知的財産権として、「商標権」がある。
商標登録がなされると、権利者は、指定商品または指定役務について登録商標を独占的に使用できるようになる。また、第三者が指定商品・指定役務と同一の商品・役務に自己の登録商標と類似する商標を使用することや、第三者が指定商品・指定役務と類似する商品・役務に自己の登録商標と同一・類似の商標を使用することを排除できる。
商標には、文字、図形、記号、立体的形状やこれらを組み合わせたものなどのタイプがあるが、平成27年4月から、動き商標、ホログラム商標、色彩のみからなる商標、音商標、位置商標も、商標登録が可能になった。
立体商標登録されている「きのこの山」
1975年に発売された「きのこの山」。同社は、同商品のきのこの形状を、商品コンセプトである「郷愁や自然、人間のやさしさ」を体現する重要な特長と捉え、きのこの形状を権利で保護することは、ブランドの価値を守ることにつながると考えているという。
1978年4月に文字商標として「きのこの山」が登録されているが、2018年3月には40年以上にわたる継続的な販売実績やマーケティング活動を通じ、形状だけで商品を認識されていることが特許庁に認められ、同商品の形状が日本の食品業界では例の少ない立体商標として登録された(登録番号第6031305号)。
ちなみに、「きのこの山」のライバルともいえる「たけのこの里」は、遅れること2021年7月21日に立体商標として登録された(登録番号第6419263号)。
「きのこの山」を保護する商標権の活用例
「きのこの山」について、模倣品との混同を防ぐために実施された、直近の商標権の活用事例としては、以下がある。
2024年3月26日に発売した「きのこの山ワイヤレスイヤホン」について、国内外のサイトでイヤホンケースに「meiji」「きのこの山」を記載した模倣品が販売された。これらに対し、同社の保有する商標権を侵害していることを確認したうえで、商標権に基づいて税関に輸入差止申立てを実施、申立ては6月14日に受理され、模倣品は税関で輸入を阻止された。
また、2024年3月、商品の誤認による消費者の混同を防ぐため、「きのこの山」の模倣品を製造していた会社との間に、模倣品の製造・販売を中止することの合意を得たという。