日本IBMは9月19日、東北電力ネットワークの配電設備維持管理におけるフィールド業務において、Salesforceと地理情報管理ツールの「ArcGIS」を統合したプラットフォームの活用でDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現したと発表した。これにより、東北電力ネットワークは、これまでの手動管理・属人的な対応から脱却し、伐採管理業務に必要な情報を一元管理するとともに、データを活用した迅速かつ適切な意思決定に加え、中長期的な伐採管理計画立案が可能になったという。

統合プラットフォーム開発の背景

東北電力ネットワークは、近年の激甚化する自然災害や人口減少の加速といった課題への対応のため、AIやIoTなどのデジタル技術を活用した設備形成の合理化や保守点検技術の高度化による、事業運営コストの低減が求められていたという。

しかし、従来の伐採管理業務は、倒木による停電を未然に防ぐために年間数万件の工事を実施する一方で、紙の地図・書類を中心とした業務であったため、情報の検索や書類作成に労力を要していたという。

これらの課題に対処すべく、日本IBMは2023年2月より東北電力ネットワークと検討を重ね、Salesforceで情報を管理するとともに、それらをArcGISで可視化し、伐採管理業務のDX化を進める統合プラットフォームを開発。

統合プラットフォームの概要

同プラットフォームは、2024年2月からの試行利用をふまえた改良を経て、2024年5月から東北電力ネットワークの配電部の社員500人が本格利用を開始した。

  • 統合プラットフォーム画面

    統合プラットフォーム画面

同プラットフォームの導入により、モバイル端末による現地での伐採対象エリアに紐づく樹木所有者の検索において75%の業務効率化を見込むとともに、伐採履歴にもとづく樹木単位の成長予測と中長期の年間伐採量の自動算出などのダッシュボード機能で戦略的な伐採計画立案や、モバイル端末での情報検索・確認による現地で完結する業務の拡大、地権者交渉の円滑化などの業務高度化を推進していく方針だ。

今後、東北電力ネットワークは、プラットフォームの適用範囲をフィールド業務全般に拡大し、基幹システムと連携することで、業務の高度化と効率化、従業員体験の向上を進め、さらなるDXを推進していく考えだ。