資生堂とNTTは9月18日、資生堂の感性科学研究の知見とNTTの非接触情報提示技術を融合させ、遠隔・非接触で化粧品の触り心地を視覚や聴覚を通して体験可能にする新技術の開発を目指し、共同研究を開始したことを発表した。

  • 資生堂とNTTが開発を目指す新技術の概要

    資生堂とNTTが開発を目指す新技術の概要(出所:資生堂)

インターネット上でのオンライン販売の急速な普及に伴い、デジタル上での購買・体験活動が多様化しており、多くの人々がECを通じて化粧品を購入するようになった。しかしオンライン販売などの購買環境では、繊細かつ多様な化粧品の触り心地の確認など、店頭での購買のように直接触れて試すことができないという課題がある。

一人ひとりの美のニーズに寄り添い、いつでも・どこでも、ビューティーの力を享受できる機会を提供することで、人々が幸福を実感できるサステナブルな社会の実現を目指す資生堂は、その実現に向け、同社が強みとする人の感覚や心理といった主観的なものを客観的・科学的なアプローチで解き明かす“感性科学研究”とDX(デジタルトランスフォーメーション)の融合に取り組んでいるとする。

一方のNTTは、人間が感じ取る感覚・近くの内容を、リアルかつ豊かに伝達・共有することを目指し、それを可能にする技術の研究開発を行っており、特に近年では、素材の柔らかさを非接触で顧客に伝達する技術を提案しているという。

そして今般、両社のビジョンと新たな技術開発に必要な知見が合致したことから、共同研究を開始するに至ったとのこと。資生堂は感性科学研究において、肌触りや化粧品の感触に関する知覚メカニズムの知見や、心地よい感触を生み出す製剤化の知見を提供するのに対し、NTTは質感を伝達する非接触情報提示技術や質感の錯覚に関する知見を提供するとした。

  • 共同研究で活かされる両社の強み

    共同研究で活かされる両社の強み(出所:資生堂)

両社は今回の共同研究を通じて、人間が化粧品基剤に触れたときの触り心地を視覚や聴覚など複数感覚の視点で探り、最終的には化粧品基剤の触り心地をさまざまな感覚で再現する感覚インタフェースを実現するという。また将来的にはこのインタフェースを活用することで、オンライン販売など実際の商品およびテスターに触れることが難しい状況でも、利用者が触り心地を体験できる新たな機会を創出することにより、多様なニーズやライフスタイルに合った化粧品の選択や購入が可能になる世界を目指すとしている。