企業向け経済インフラ・プラットフォームを提供するStripeは9月17日、世界中のサブスクリプションビジネスにおける現在のビジネスチャンスと課題を調査した新しい「サブスクプションビジネス市場動向レポート」を発表した。同レポートでは、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、アイルランド、日本、シンガポール、英国、米国の9カ国のサブスクリプションビジネスを展開する企業のリーダー2000人以上を対象に調査を実施した。
サブスクリプション市場は健全な成長軌道を継続しており、日本においても2025年には国内サブスク市場は1兆円を超えると予測(矢野経済研究所)されているほか、さまざまな分野でサブスクリプションが活用されており、多様なニーズが生まれてきているという。
今回の調査で回答したサブスクリプションビジネスを展開する企業の73%は、今後12カ月以内に従量課金プランの提供拡大を検討しており、柔軟なサブスクリプションプランを試行する予定であることが分かった。
また、69%のビジネスリーダーが柔軟な料金体系モデル(従量課金プランや段階制の料金体系)の採用に興味があると回答している一方、既存の請求システムはこうした複雑な料金体系モデルに対応できず、価格戦略をサポートする柔軟性に欠けている状況だと指摘。
さらに、多くのサブスクリプションビジネスが展開される中で、半数近く(49%)の企業が新規顧客を獲得するため、今後1年以内にグローバル展開への投資を検討していることが判明した。
しかし、既存で利用している請求システムが国際的な成長戦略を効果的にサポートできるかどうか疑問視されており、52%の企業がサブスクリプションプロセスのスピードに不満を感じているという。
日本単体では、60%と調査対象となった9カ国の中で最もサブスクリプションプロセスのスピードに不満を感じていることが分かった。企業は請求システムが成長の妨げになっていると見ていることから、69%の企業がグローバル展開計画の一環として請求ソフトウェアの再検討を予定し、日本においても68%の企業が新しい請求ソフトウェアの導入を検討しているとのこと。
加えて、レポートでは「リーキーバケット(漏れバケツ)」、つまり意図しない解約がサブスクリプションビジネスにとって依然として根強い問題であることも指摘。意図しない解約とは、例えばクレジットカードの期限切れによる未払いなどで、利用者が意図せずにサービスまたはサブスクリプションの利用を中止したときに発生する。
過去1年間に意図しない解約が増加した企業は40%に上るにもかかわらず、その多くは収益の損失を定量的に可視化するための包括的なデータが不足していた。企業の43%は、意図しない解約や決済の失敗による機会損失額が不明であり、79%は決済拒否の件数を低減するためのリトライ(再試行)ポリシーなどの対策を実施していないことを認めている。