フリマアプリ大手のメルカリは9月10日、AIを活用した出品に関する新機能「AI出品サポート」を発表した。同日より、フリマアプリ「メルカリ」に出品する際、写真を撮影またはアップロードしカテゴリーを選ぶだけで、商品の説明や状態、販売価格など出品に必要な情報が自動入力されるようになる。新機能により、ユーザーは出品する際にタイトルや説明文を考える必要がなくなり、最短3タップで出品が完了する。

  • メルカリはAIを活用して最短3タップで出品できる新機能を発表した

    メルカリはAIを活用して最短3タップで出品できる新機能を発表した

メルカリの月間利用者数は約2300万人にのぼる。その一方で、同社が実施したユーザーへのアンケート調査によると、「出品時の商品情報の入力に負担を感じる」「売りたい不用品があるが、出品作業が面倒」「商品説明をどこまで詳細に記載するべきか分からず、出品を断念した」「出品する際の値決めが面倒」といった声が多く、出品へのハードルの高さを感じているユーザーは少なくないという。

そこでメルカリは、商品写真の撮影に加えて、商品名・カテゴリー・商品の状態・販売価格の4つを入力するだけで出品できる「かんたん出品」機能を3月に提供を開始。最短15秒で出品できるようになり、約7割のユーザーが既存の出品操作より簡単さを感じたとのこと。

  • 2024年3月に発表した「かんたん出品」機能

    2024年3月に発表した「かんたん出品」機能

また5月には、商品の価格を決めずに出品できる「価格なし出品」機能を発表。出品者は商品の価格を決めずにすぐに出品することが可能になった。最初に販売価格を決めなくても出品でき、購入希望者からの提案を参考にしながら後から価格を決められるので、出品時に価格の設定で悩んだり、類似商品がいくらで売っているかを事前に調べる必要がなくなった。

  • 2024年5月に発表した「価格なし」機能

    2024年5月に発表した「価格なし」機能

そして今回、出品に関する手間をさらに省くため、AIを活用した新機能を実装した。9月10日より段階的に、メルカリで出品を行う際に新機能が初期設定でオンになる。

同日の発表会に登壇したメルカリ Supply Team Directorの菱井康生氏は「出品する意向はあるものの、『今より出品しやすくなれば…』といった理由で出品したことがない人は約3610万人いると試算している。テクノロジーを駆使することで、出品をためらっている層にアプローチしていく」と述べた。

  • メルカリ Supply Team Director 菱井康生氏

    メルカリ Supply Team Director 菱井康生氏

AI出品サポートの使い方は簡単だ。まず出品ボタンをタップし、商品を撮影する(もしくは写真を選ぶ)。次に商品のカテゴリーを選ぶと、タイトルや商品説明文といった商品情報をAIが生成する。

  • (1)写真を撮影(選択)

    (1)写真を撮影(選択)

  • (2)カテゴリーを選択

    (2)カテゴリーを選択

  • (3)AIが商品情報を生成する

    (3)AIが商品情報を生成する

AIが生成した内容は必要に応じて編集することも可能だ。そして最後に「出品する」をタップすることで出品は完了する。「初心者のユーザーはもちろん、普段から複数の商品を出品している慣れているユーザーにとっても便利な機能だ」(菱井氏)

菱井氏によると、撮影する(選択する)写真の枚数を多くしたり、商品説明が記載されている部分を撮影したりすることでAI生成の精度は上がるという。ハンドメイドのアクセサリーやカメラ本体といった商品説明がない場合でも、メルカリ上で蓄積された膨大な情報を基に、商品タイトルや具体的な説明、商品価格をAIが提案してくれる。生成AIのモデルは非公開だが「数多くある生成AIを一通り試した上で、メルカリに適したモデルを選んだ」(菱井氏)という。

  • 商品情報がかかれた部分の写真を撮影(選択)しなかった場合の商品説明文。書かれている内容が少し変わった

    商品情報がかかれた部分の写真を撮影(選択)しなかった場合の商品説明文。書かれている内容が変わった

同社は今後、アプリのUX・UIの改善や出品体験の簡略化に加えて、実際の作業として発生する梱包や発送といったプロセスも簡単にできるように機能を強化していく考え。「売る・買うときの面倒や手間を可能な限り減らせるように取り組んでいきたい」(菱井氏)