デロイト トーマツ ミック経済研究所が8月22日に発表した予測によると、SaaS管理・開発ツール市場はSaaSの複雑化・利用の重層化の課題を取り込み、2023年度は2022年度と比べて53.5%増の221億円、2024年度は2023年度と比べ43.4%増の317億円へと拡大する見込みだ。

同社はSaaS管理・開発ツールを、アカウント一元管理および新たなセキュリティ領域や運用の最適化、SaaS開発・API連携におけるリソース不足を補い、開発工数やコスト削減などを実現する製品/サービスと定義する。

SaaS利用企業(主にSaaSを利用する一般事業会社)では、SaaSは導入数に比例してアカウントの作成・削除や権限設定、ID・アクセス管理などが煩雑なため、従業員の入退社や異動時の負担が大きくなっている。

一方、SaaS事業者(SaaS(サブスク)事業を主な業務として展開する事業者)では、カスタマー・サクセスに向けて多くの管理業務が生じ、常に最新機能の提供やAPI連携拡充ためのリソース確保が急務となっており、同市場はこれらを追い風に拡大している。

  • SaaS管理・開発ツール市場の規模推移 出典: デロイト トーマツ ミック経済研究所

各ベンダーでは大型の資金調達も活発化しているといい、広告強化による露出拡大でサービス・ブランドの認知度向上と、企業の経営層への訴求に力を注いでいる。また、PoC(概念実証)や部門トライヤルから全社採用の大型案件が散見され、急速な成長を同社は想定する。

  • SaaS管理・開発ツール市場の中期予測 出典: デロイト トーマツ ミック経済研究所

コロナ禍(新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大)を経てIT投資の本格化が期待されるという2024年度のSaaS管理・運用・開発ツール市場(SaaS for SaaS)について、前述の通り対前年度比43.4%増の317億円になると同社は見込む。

いわゆる「2025年の崖」は間近に迫り、企業は大小様々に迅速な対応を求められており、その具体的な処方の1つとしてSaaS for SaaSが浮上しているという。

2025年の大阪・関西万博を控えて上昇傾向が継続し、市場は450億円を突破すると同社は見る。リニア新幹線開業を契機に、2028年度には年平均成長率(CAGR)40.4%で1205億円の市場規模に拡大すると、同社は予測している。