AMD(Advanced Micro Devices)は8月19日、ZT Systemsを買収することで合意したことを発表した。買収金額は49億ドルで取引は現金と株式で行う。ZT Systemsはクラウド事業社向けにAIデータセンター機器を提供するベンダーで、AMDは製品の幅を拡充する狙い。

買収完了は2025年前半を見込む

ZT Systemsは米ニュージャージー州に本社を置く、1994年創業のシステムメーカーで、AI向けのコンピューティングやストレージインフラの設計と実装を手がける。年間の売り上げは100億ドル以上。

買収後、ZT Systemsのシステム設計部門はAMDのデータセンターソリューション事業部の下に入る。製造部門については売却先を探す計画だ。これにより、NVIDIAとの競争の体制を強める狙いと見られる。

AMDの会長兼CEOのLisa Su博士は買収を告げるプレスリリースで、この買収は「長期的なAI戦略において、次の大きなステップ」と述べ、「クラウド事業者や企業顧客に、迅速に大規模に展開できるトレーニングと推論のためのソリューションを提供する」と説明している。

AMDはAIアクセラレーター「Instinct」、EPYU CPU、ネットワーキング製品などのポートフォリオがあり、ZT Systemsのデータセンターシステムの専門知識を組み合わせることでエンドツーエンドのAIインフラを大規模に提供できる、と説明している。買収は規制当局の承認などの手続きを経て、2025年前半に完了を見込む。