伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は8月2日、慶應義塾大学SFC研究所データーアーキテクチャラボと、安心できるデジタル社会の実現を目指し、データ流通の信頼性向上に向けた共同研究プロジェクト「Trust Knots」を開始したことを発表した。個人や法人がオンラインでデジタル取引を行う際の信頼性の検証についての研究で、期間は2024年6月から2025年3月まで。
共同研究プロジェクトの概要
今回の共同研究プロジェクトであるTrust Knotsは、データ流通の信頼性向上に向けた取り組みで、「デジタル取引における身元詐称やデータの改ざんの有無を検証する汎用的な仕組みについてのプロトタイプ開発」「大学の学修歴やリユース事業、行政などの個別テーマでの実証実験」「研究成果を基にした政府や経済団体への政策提言やサービス事業者への情報提供」の3点を進めるもの。
同研究では、身元や資格などの情報を管理し、必要な情報のみを自身の意思で他者に提供できる基盤ソフトウェアのプロトタイプ開発や、デジタル資格証明の発行・検証に向けた環境整備を行う。
また実証実験では、大学やオンラインサービス事業者などが発行する資格情報に、デジタル署名をはじめとした信頼を形成するために必要な情報を付与し、国際連携を含む民間・官民でのデータ流通の仕組みへの適用を想定しているという。
慶應義塾大学とCTCの取り組み
慶應義塾大学とCTCは、慶應義塾大学の学生を対象に在学証明書や卒業見込証明書などをスマートフォンアプリへ発行する、次世代デジタルアイデンティティ基盤の実証実験を2020年から実施してきた。
また、同年から内閣官房デジタル市場競争本部が設置したTrusted Web推進協議会の実証事業にも参画し、協議会が進める「検証可能性の追及によるインターネットにおける信頼(トラスト)の実現」に取り組んでいる。
両者はこのような取り組みで得られた知見をベースに共同研究を進め、安心かつ安全なインターネット社会の実現と、利用者にとって使いやすいオンラインサービスにつなげていきたい構え。