セイコーエプソン(エプソン)は7月29日、高性能な6軸センサを搭載した慣性計測ユニット(IMU)の新ラインアップとして、高精度・低ノイズかつ防水・防塵対応のプレミアムモデル「M-G570PR」を開発、量産を開始したことを発表した。

  • 「M-G570PR」マーキング面

    「M-G570PR」のマーキング面 (出所:エプソン)

同社は2011年に水晶ジャイロセンサをコアとしたIMUを発売して以来、宇宙空間での使用における規格に準拠したものではないものの、GNSSを活用した精密農業)や民生・産業部品を活用する小型人工衛星、EO/IRカメラジンバル、アンテナの制振制御など、さまざまなアプリケーションに採用されてきたが、 近年、空中や人工衛星での映像撮影や測量など利活用分野が広がり、より精確な位置・姿勢制御のニーズが増大しており、IMUに対しても姿勢制御において重要とされる高精度性能への要求が高まっているという。

新製品となるM-G570PRは従来品の「M-G370PDG」をベースに、独自のマルチセンサ技術の採用により、複数のIMUを合成することで高性能化を実現。これにより、 アラン分散における水平の特性を表すジャイロのバイアス安定性は0.5°/h、同じく-1/2乗の傾きを示す角度ランダムウォークは0.04°/√hを実現し、いずれも従来品よりも高い性能を実現。これにより高精度計測を可能したとする。

さらに、金属筐体パッケージの採用により防水・防塵規格IP67に対応。耐環境特性を高めたほか、従来品のSPI/UARTではなく、産業分野で幅広く採用されているシリアル通信RS-422インタフェースを標準装備したことで、高安定性、高信頼性が要求されるさまざまな産業アプリケーションへ適用することが可能となり、用途に合わせた最適な製品選択を顧客側でできるようになったとしている。

なお同社では、今後も小型・軽量・低消費電力に加え、高精度・低ノイズ高安定といった「省・小・精」のコンセプトから生み出される価値で、顧客の商品やサービスに貢献できるセンシングシステムの提供を目指していくとしている。