今年4月の働き方改革関連法の改正によりトラックドライバーの時間外労働の960時間上限規制が始まり、さまざまな業界に影響を与えている「2024年問題」。トラックドライバーの労働時間が短くなることで輸送能力が不足し、「モノが運べなくなる」可能性が懸念されている。
建設用軽仮設機材をレンタルしているアクトワンヤマイチもトラックによってレンタルする機材を搬送しているため、2024年問題の影響は免れない。そこで、同社は法改正が行われても事業を継続できるよう、リクルートが提供している待ちの不満を解決する受付管理アプリ「Airウェイト」を導入して、トラックドライバーの待ち時間の管理のデジタル化に乗り出した。
これにより、同社はどのような効果を得ているのだろうか。中部関西営業部 部長の田中信太郎氏、関西営業所 業務チーム 主任 乾優美氏、礒谷篤氏に話を聞いた。
対面かつ紙ベースで行われていたトラックドライバーの受付
アクトワンヤマイチは卸レンタルという営業形態でエンドユーザーではなく、レンタル会社に建設用機材をレンタルしている。配送について自社で請け負う際は運送会社へ外注している田中氏は、「1年ほど前から、2024年問題は他人事ではないと考えていました。ドライバーの方の労働時間が減ると外注費の値上げにもつながることから、事業が継続できるよう、対策を講じることを検討しました」と語る。
関西営業所が管理している機材センターでは、1日100台のトラックの出入りがある。当初、ドライバーが来店し、機材センター内が満車だった場合は氏名と電話番号を紙に書いて、別な場所で待機してもらっていた。空車ができたら、事務所が電話をかけて呼び出すという流れになっていた。
礒谷氏は、以前のトラックドライバーの受付について、「機材センターに直接来ないと混雑状況が見えず、何番に呼び出されるかもわかりませんでした」と振り返る。
こういっては何だが、実にアナログのやり方だ。字が読みづらかったり、書いてもらった紙をなくす可能性があったり、書いてもらった紙を先着順に管理する必要があったり、事情を知らない人間が考えただけでも課題が頭に浮かぶ。
そこで同社は2021年ごろから、受付を紙ベースからデジタル化への移行を検討し始め、「Airウェイト」を導入した。「Airウェイト」はタブレットやオンラインで受付を行い、順番待ちの管理を可能にする。自動音声で呼び出しも行う。
ボタン一つで呼び出し可能に、待ち時間も半減
「Airウェイト」を導入したことにより、ドライバーは機材センターに来なくても受付ができるようになった。機材センターに来たドライバーもタブレットで受付が行えるので、同社のスタッフは対応しなくてよい。受付が完了したら、スマートフォンから待機状況がわかるので、その間に別な仕事をすることもできる。
礒谷氏は、「営業所や機材センターが混み合うことがなくなりました。以前は、敷地内に待つ場所がないと別な場所で待っていただくこともありましたが、それもなくなりました」と語る。
乾氏は、「以前は電話でドライバーの方を呼び出していましたが、今は呼び出しボタンを押すだけで呼び出しができるので便利になりました。また、待っているトラックの数の問い合わせが多かったのですが、それもなくなりました。ドライバーの方に書いてもらった紙の受付票もWebで管理できるようになりました」と、Airウェイトがもたらした効果を話してくれた。
導入効果は数値にも現れている。礒谷氏は、「Airウェイト」の最大の効果として、待ち時間の削減を挙げる。具体的には、従来の半分に待ち時間が減ったという。加えて、受付も1日10分程度の削減が見られたうえ、「管理する手間が省けて、インパクトが大きかったです」と、礒谷氏は話す。
当然、営業所はトラックドライバーの受付のほかにも業務がある。ドライバーの受付に追われて、他の電話にうまく対応できないこともあったが、今ではそうしたことも減ったとのこと。