デル・テクノロジーズは7月5日、APJ(アジア太平洋および日本)地域における企業のサステナビリティ戦略への取り組みに関する調査を発表した。「Innovation Catalyst」調査として、北米、中南米、ヨーロッパ、中東、アフリカ地域、APJ地域で従業員100名超の企業から6600人を対象に実施した。6600人中3300人がITの意思決定者(ITDM)、3300名がビジネスの意思決定者(BDM)だ。

APJ地域における1900人からの回答によると、重要なイノベーションの目標上位5つのうちの1つとして、38%(日本:31%)が環境面においてよりサステナブルになることを挙げたという。また、サステナビリティの取り組みにAIを使って最適化することが企業にとって最優先事項の一つに挙げられるが、10人中6人(日本:41%)は、AIを使うことにより環境面でのサステナビリティに対する取り組みが損なわれると考えていることが明らかになった。

ESG(Environment:環境、Social:社会、Governance:ガバナンスの頭文字を取ったもの)基準の遵守とサステナブルなイノベーションには依然として課題が残るものの、10人中8人(日本:62%)が自組織が遵守すべき環境規制をすべて把握していると回答した。48%(日本:39%)が環境面においてサステナブルなイノベーションを推進することを改善すべき点として回答した。

サステナブルなテクノロジーでエネルギー効率の向上を実現

エネルギー効率の向上は、サステナビリティに関する取り組みにおいて最優先事項の一つだ。現在企業が取り組んでいる施策について、データセンターでの代替冷却ソリューションの使用(75%、日本:53%)、AI推論をエッジへ移行することによるエネルギー効率の改善(73%、日本:51%)、IT環境をより効率的に管理するためにas-a-Serviceソリューションの実験(79%、日本:56%)などが挙げられた。AIモデルとインフラストラクチャの規模を最適化(ライトサイジング)することで、ITのカーボン フットプリントの最小化が可能だという。

未だ定まっていない生成AIの役割

生成AIがサステナビリティに与える影響について、10人中6人(日本:41%)がAIの利用は環境面におけるサステナビリティに対する取り組みを損なうと考えていた。さらに、35%(日本:26%)は、AIモデルのトレーニングに必要なエネルギーの使用量と温室効果ガス排出量の増加に対する懸念が、AIと生成AIの導入に二の足を踏む要因になっていると回答した。

その一方で、37%(日本:25%)が、環境フットプリントの改善およびエネルギー削減とサステナビリティの取組みに関する意思決定への情報提供を強化するために、まず生成AIを導入すべきであると回答。これは、サステナビリティへの取り組みを加速させるために、AIの可能性を探ることに関心が寄せられていることを示すのだという。

重要な役割を果たす外部のテクノロジーベンダー

企業が自社のサステナビリティ戦略を継続して調整し最適化していく中で、回答者の79%(日本:60%)が、サステナビリティへの目標達成を推進する上で第三者の支援を求めいると回答した。

テクノロジーベンダーと緊密に連携してサステナビリティの取り組みを前進させるためには、企業とエコシステムパートナーとの間に、より大きな説明責任と信頼、そして多くのコミュニケーションが求められる。

今回の調査では、82%(日本:61%)が、テクノロジーベンダーに透明性があり明確なサステナビリティの目標があること、また、バリューチェーン全体が生み出す温室効果ガスに対する説明責任を果たすことを期待している。