我が子の健やかな成長を望まない親はいないだろう。成長を表す指標のひとつに身長があるが、成長期に身長が伸びる時期は2回ある。

文部科学省の「成長スパート」に関する資料によると、1回目は赤ちゃんのとき(第一次性徴)で1年で約25cm、2回目は思春期のとき(第二次性徴=成長スパート)で個人差はあるが、女子は11歳で約8cm、男子は13歳で約9cm伸びるという。

個々の成長スパートの時期を把握し、その時期に良質な食事や睡眠をとり、運動を習慣にすることで、予測される身長よりもさらに伸びる可能性があるという。なお、身長の伸=骨の伸びであって、骨は大人になると伸びなくなる。

骨を成長させるには、骨の成長に必要なカルシウムを成長期に意識して摂る必要がある。カルシウムの吸収率が最も高いのは10代で、成長スパートの時期はカルシウムを効率的に吸収できる身体ができているといえる。

  • 子ども向けヘルスケアブランド「GROWNIQUE」

    子ども向けヘルスケアブランド「GROWNIQUE」

そんな子どもたちの成長期と健康維持をサポートしたいとの思いで開発され、4月30日に誕生したのがヘルスケアブランド「GROWNIQUE(グロウニーク)」だ。

“運動×栄養×睡眠で、子どもの可能性を最大限に引き出す”をコンセプトに、ブランドデビュー時には栄養機能食品「GROWNIQUE GROW」とUV&アウトドアスプレー「GROWNIQUE PLAY」の2アイテムを発売開始。

「子どもたちは運動×栄養×睡眠の3つのバランスが整ったときに成長します。身体が大きくなり、健康で体力があると、動ける量が増えます。そうなるとスポーツはもちろん、さまざまな物事に粘り強く取り組め、心身とも共に強い自分でいられることで自信を獲得できます。結果、自分の身体に対して肯定的な認識を持ちやすく、前向きな姿勢にもつながり、新たな挑戦もしやすくなり、自尊感情がポジティブに働いていく好循環が生まれるのです」

  • ペドラルベス 代表 加藤志穂さん

    ペドラルベス 代表 加藤志穂さん

こう話すのは開発者のペドラルベス代表 加藤志穂さん。専門職大学における客員教授としての経験や夫が経営する子ども向け運動スクール事業への参画経験から、子どもの成長期の過ごし方がいかに重要であるかを実感し、「未来の人づくり」を目指してグロウニークを立ち上げるに至った。加藤さんにこれまでの歩みとペドラルベス及びグロウニークで目指すことを聞いた。

次世代が素晴らしい人生を送るサポートをしたい

東京大学・同大大学院で化学を専攻後、国内消費財・化粧品メーカーや外資系化粧品メーカーで研究員として技術・商品開発に従事してきた加藤さん。2015年に独立を果たし、化粧品の開発から販売まで注力してきた。その中で、子ども向けヘルスケアブランドに特化したペドラルベスを新たに創業した背景には何があったのか。

40代に差し掛かる前に、自身がこの先どういったビジョン・ミッション・バリューで生きていくかを見直す機会があり、その解は「挑戦であふれる未来を作る」だったと加藤さんは振り返る。さらに、これまでは事業を通じて周りの人たちの幸せに貢献することを目指していたが、その対象が「次世代」へと向き始めた。

自分自身が30代半ばから感じ始めた身体の変化に加え、幼馴染である同世代のトップアスリートが今季で引退したり、“引き際”に関する書籍を読んだりしたことも影響している。人生100年時代におけるプレイヤーとしての自身のピーク、後進へのバトンタッチのタイミングなどを考える1つのきっかけになったという。

その中でも大きなきっかけとなったのは、専門職大学で客員教授として、自分より一回り以上離れた学生たちと向き合った際の気づきだった。彼らとちょっとした雑談をしていると小・中・高校時代の成功体験や在り方が、本人が意識しているか否かに関わらず、「今」に顕著に反映されていることを確信したという。

「10代以降~大人になってから粘り強くがんばる力というのは、幼少期~成長期に至るまでの成功体験と大きく関わっているようです。心理学の本などを読んでいても、それらは密接につながっているのを感じます。だからこそ、子どもたちが成長期というとても重要な期間に身体づくりを通して強い心身を育て、後々の人生で大きなパフォーマンスを出せるような支援したいと考えるに至りました」(加藤さん、以下同)

子どもの成長を願う保護者に「頼ってほしい」

そうしておよそ1年前に着想したのが、“運動×栄養×睡眠で、子どもの可能性を最大限に引き出す”アイテムだった。もともと運動・栄養・睡眠の3要素のバランス維持の重要性は、子どもはもちろん大人を含むすべての人に言えることであると自らの経験からも感じていた。

さらに、夫が経営する子ども向け運動スクールで、保護者から「子どもの身長が伸びない」「たくさん食べているのに周りと比べて背が低い」など、身長に関する悩みを聞く機会が多いことも、子どもの成長に寄与するアイテムを開発できないか……との考えにつながっている。

  • 栄養機能食品(カルシウム)として展開される「GROWNIQUE GROW」

    栄養機能食品(カルシウム)として展開される「GROWNIQUE GROW」

子どもの身長を伸ばす・身体を大きくするといった「子どもの成長」分野では、すでにさまざまな栄養補助食品が販売されている。しかし、エビデンスに関しては賛否両論がある。そんな中、加藤さんは2023年秋、成長期を応援する特許成分「ぐんぐんスイッチ(※)」(日本:第6909511号、米国:US10980842)と出会う。そこから急ピッチで開発を進めていったのがGROWNIQUE GROWだ。

※編集部注:新鮮な牡蠣の身を原料として、乳酸菌により独自の技術で発酵させた機能性原料。栄養素GABA、タウリン、亜鉛、その他必須アミノ酸やミネラルを豊富に含み、臨床試験では子どもの身長を半年で1cm以上伸ばす作用があることを確認している(エース・トレーディング 原料ページより引用)

「必要としてくれるお客さまは一定数いると確信して開発をスタートしました。こだわったのは糖類、香料、人工甘味料、着色料、発色剤、保存料などの無添加です。化学の進歩の過程で開発された添加物は一定のメリットがあって添加されています。一方で、保護者の方たちにヒアリングを重ねると、できる限り食事で栄養を摂らせたい、余計なものを摂取させたくないといった声も多かったのです。“身体の中に入れなくてもいいもの”をできるだけ除外して、安心して使っていただける製品を目指しました」

だからこそ、カプセルに包まれたサプリメントタイプではなく、食事にかけたり飲み物に混ぜたりしても違和感のないパウダータイプでのリリースとなった。骨の成長に欠かせないカルシウムをとても手軽に摂取できる。昔と比べて野菜や果物などの農産物の栄養価は下がっていると言われる中、自然の食材から子どもに必要量の栄養を摂取させようと思うと、量を多く摂らざるを得なくなる。調理にも工夫が必要だ。

しかし、すべての保護者が常に良質な食材を調達し、栄養価の高い状態に加工できるとは限らない。近くに力を借りられる親がいたり、時間に余裕があったりする人はそう多くないだろう。共働きも多く皆が忙しい。

加藤さんは「今の親御さんたちと接していると、育児・家事・仕事ととても多忙な中でがんばっておられます。ご近所さんに頼るのは難しくても、弊社のような会社や製品に頼っていただきたい」とも話す。

  • GROWNIQUE PLAY

    GROWNIQUE PLAY

GROWNIQUE GROWと同時に紫外線カット剤配合アウトドアスプレーであるGROWNIQUE PLAYもリリースしている。その背景は運動・栄養・睡眠の3要素のうち、近年明らかに減っているのが運動、とくに外遊びだと明らかになっているからだ。しかし、運動・栄養・睡眠の3要素はどれかが欠けてもバランスが崩れるため、3つが揃う必要があると加藤さんは話す。

ただ、現代社会は外遊びが減るのも無理はない環境となっている。公園からはリスクのある遊具が撤去され、紫外線や熱中症リスク、虫を介した感染症リスクが高い気象環境となり、さらにコロナが外遊び減少に拍車をかけた。安心して外に子どもを送り出せない保護者も少なくない。

そこで加藤さんは、紫外線吸収剤・ディート・鉱物油などの無添加で、肌に優しい製法にこだわったGROWNIQUE PLAYを開発。外に出て遊ぶ・運動する時間を少しでも増やして、栄養・睡眠にも良い循環を促進してほしいとの狙いでラインアップしている。

作り手として、健やかな心身で顧客と向き合いたい

企画開始からスピード感をもってリリースし、公式ECサイトやAmazonで発売を開始しているものの、課題感もある。エビデンスをもとに開発した製品とはいえ、後発としてゼロからブランドを立ち上げたことで、まずは認知してもらうことが壁であるという。基本的な広告を運用し、夏以降はイベント出店や実店舗での取り扱いも計画している。

「まずはGROWNIQUEを信頼してもらい、子どもための製品を選ぶときの選択肢として挙がるようなブランドに育てていきたいです。製品だけではなく提供する情報やペドラルベスそのものが、保護者様の子育ての伴走者としてありたいと考えています。

化学者のバッググラウンドを生かして、世の中にあるペイン、解決されていない問題にアプローチするような製品を開発したいという思いを持ち続けてきて、それは今後も変わることはありません。いろいろなアイテムを試したものの、思うような結果を得られなかったり、納得のいくものが見つからなかったりする方がGROWNIQUEに辿り着いて、解決策を得ていただくのが理想です」

最後に、ペドラルベスとして今後どんな未来を目指しているのかを尋ねた。それに対し、ミッション「未来への一歩を共に歩む」、ビジョン「挑戦で溢れる未来を作る」に加えて作った5つのバリューに基づいた事業活動を通じて、世の中に貢献したいと加藤さんは話す。

1. 結果を出すことにコミットする
2. 健やかな心と身体を基本にする
3. わくわく、楽しい、夢中になれることを大切にする
4. 誠実である
5. 意思決定は早く明確に

2と3は顧客である保護者・子どもにも製品を通じてそうあってほしいと考えている。4について加藤さんはこう補足する。

「ペドラルベスをあえて一人会社で合同会社にした理由は『見る相手を間違わないように』したいからです。GROWNIQUEというブランドでは、自分が健やかな心と身体を保ちながら、わくわくしながらお客さまと向き合ってベストな製品・サービスを提供できる環境を意図的に作ったのです」

GROWNIQUEのアイテムは決して安価ではない。「子ども向けのモノだからとりあえずリーズナブルに済ませよう」といったスタンスで、間に合わせ的に買う製品ではないといえる。心身は取り入れたものや生活習慣でできていく。

特に成長期を迎える・成長期真っ只中の子どもにとって、心と身体はこれから作られていくことになる。今を健やかに、大人になっても健やかな心身を保てる人に--。そんな思いで加藤さんは健やかに事業と向き合っていく。