麻生のグループ病院である飯塚病院とグループICT企業である麻生情報システム、NECの3社は5月29日、飯塚病院の経営データをAIで分析し、その結果をもとに生成AIを活用して経営判断を示唆する「病院経営マネジメントサービス」の実証を4月から7月の期間で開始したことを発表した。

実証の概要

今回の実証は、現在多くの病院で、経営改善に向けた施策を実施するためのデータ集計・加工・分析に時間を要するとともに、その分析が個人のスキル・経験に依存しているという課題を背景に実施されるもの。

飯塚病院のさまざまな経営データを収集することで、麻生の経営コンサルティング力に、NECが医療現場への適用を進めてきた生成AIなどの新たなテクノロジーを組み合わせたサービスを開発。病院における業務効率化と経営改善の有効性を検証する。

  • 「病院経営マネジメントサービス」イメージ

    「病院経営マネジメントサービス」イメージ

それにより、病院が十分かつ迅速に活用出来ていない経営データを収集し、AIを用いてリアルタイムに経営判断し課題解決するサービスの社会実装、そして日本の医療DX(デジタルトランスフォーメーション)推進への寄与を目指していくという。

実証の内容

具体的な実証内容としては、過去15年分の飯塚病院の入院日数や病床稼働率などの経営指標データや診療関連情報とNECが提供するAIデータ分析基盤「dotData」を活用し、病院経営指標の予測を実施する。

その予測値と実績値の差異に関する要因を短時間で自動的に抽出してランク付けを行い、さらに、そのランキングが高い要因に関わる診療行為や患者の特徴を分析することで詳細な情報や改善アクションを生成AIが提案する。

これにより病院は、経営状況の可視化や傾向分析のスピードアップ・精度向上が可能となり、適切なタイミングで対策を打つことができるようになる。

なお、NECは「ホスピタルマネジメント構想」実現に向けた共創の一環として、6月から麻生情報システムが開発した経営データのリアルタイムな可視化を実現する「診療状況照会システム」を、NECの「Cloud Gateway」を通じて提供する。さらに、同実証の成果を踏まえ、病院経営マネジメントサービスを2024年度下期中に提供開始することを目指す構えだ。