行政や製造業、不動産、IT、インフラ金融機関など多種多様にわたる業種・業界で採用されている顧客データ統合ソリューション「uSonar」を提供するユーソナー(旧ランドスケイプ、2022年に現在の社名に変更)。同社では約820万件の法人データベース「LBC(Linkage Business Code)」を構築しており、顧客データの名寄せサービスやマーケティングデータを提供している。今回、ユーソナー 代表取締役共同社長の長竹克仁氏に同社の強みなどの話を伺った。

国内企業の網羅率99.7%を有する法人データベース「LBC」

開口一番に長竹氏は「大半の業界で1位~5位ぐらいまでは当社のサービスを導入しており、部門導入ではなく、全社導入で利用いただいていることも1つの大きな特徴です」と話す。LBCは法人の国内拠点網羅率が99.7%、グループ企業や事業所単位の情報が分かり、企業・業界、類似企業の動向も把握できるという特徴を持つ。

  • ユーソナー 代表取締役共同社長の長竹克仁氏

    ユーソナー 代表取締役共同社長の長竹克仁氏

LBCについて同氏は「常に法人データの整備を行っています。具体的には、例えば法人番号やインボイス制度の登録番号が付与された際に、当社が一手に引き受けてデータの整備や統合化をしているのです。LBCは繋がりが分かるデータベース構造になっており、上場企業から中堅、中小、個人事業主に加え、与信会社が苦手とする医療・学校法人、官公庁、地方自治体まで網羅し、データの鮮度・精度には自信があります」と述べる。

LBCのデータソースは官報や有価証券報告書といった公的な公開情報をはじめ、商業・法人登記謄本の全件も含まれている。これに加えて、オフィシャルな情報がない事業所拠点情報を手作業で収集している。また、社名変更や移転といった過去の変更情報を8億件、商業・法人登記簿や有価証券報告書、企業ホームページなどメンテナンス項目は年間2000万項目に達するという。

長竹氏は「BtoBのセールスマーケティングにおいては、当社が日本最大、決定版の法人データベースになります」と強調する。こうした、LBCを常にブラッシュアップしていく業務を、同社では正社員215人のうち数十人と全国各地にデータ収集、メンテナンスを行う在宅ワーカー4300人で行っている。

ユーソナーが考える、真の心理的安全性

法人データベースを売りにしている競合他社は、インターネット上の情報をもとにしているものが多いが、人手ではないと収集できないデータを持っている点がユーソナーの強みだという。

長竹氏は「地方自治体に対して開示請求を行ったり、地方新聞や雑誌などを見ながら広告の状況を確認したりするなど、企業情報の拡充に努めています。また、手入力のため社名などを間違えてしまうことがありますが、こうしたクセをナレッジとして蓄積することで、ユーザー企業で誤記入しても自動的に正式な社名に変換できます」と、そのメリットを説く。

さらに、資本系列や本社・事業所関係が可視化されていることから、企業グループごとの正確な取引額の把握、未取引企業への営業展開、グループ戦略の立案が可能だ。

取引先管理については「要注意」の企業に対して1~9までのフラグを付与。1~3は事件化や反社など即取引停止を検討するよう促している。与信に関しては大企業から零細企業まで0~99点の評点でランク付けしてある。

また、名刺管理アプリの「mソナー」で名刺を撮影すれば、LBCのデータベースと紐づけて、即時的に相手の企業データや関連情報、人脈などを把握できる。名刺を交換した相手企業に要注意フラグが付いていれば、それもすぐにわかるようになっている。

  • 要注意フラグと、評点スコア(与信)の概要

    要注意フラグと、評点スコア(与信)の概要

加えて、顧客が何を求めているのかを理解し、そのニーズに合わせた提案を行うインテントセールスを支援するため、最近動きのあった企業や興味・関心、企業の特徴をはじめとした「ストーリー/導入タグ」を2000項目用意している。

長竹氏は「例えば売りたいサービスのページを当社のツールに登録すれば、そのサービスを調べている企業の一覧が毎日把握できます。調べている企業は売りたいサービスに興味があるから調べている。それを把握したセールスパーソンは、サービスを欲している企業に対して案内できるため、負荷がかからず営業成績の向上につながります。当社では要注意フラグや評点スコアで安全なセールス・マーケティング環境を作り、インテントデータをはじめとした企業詳細情報を組み合わせることで、セールスパーソンの成績を向上させることが実現できます。これにより、真の心理的安全性が担保される、と考えています」と説明する。

続けて、同氏は「これが本当のDX(デジタルトランスフォーメーション)だと思います。というのも効率化を図って売り上げ、利益につながらなければ意味がありません。また、分かりやすくCRM(顧客関係管理)や名刺管理、MAなどのツールを導入しただけでも意味がなく、データを利活用して現場の行動につなげ、成績が向上するという自分のメリットにつながるような状態にしなければDXは上手く回りません。だから、われわれはコンテンツとデータに着目して、安全・安心な取引環境と成績が向上するコンテンツとデータを提供しているのです」と力説する。

ユーソナーの製品は“尖っている”からこそ選ばれる

こうした現場だけにとどまらず、同社では経営戦略プラットフォームとして「プランソナー」を提供しており、市場を網羅した企業情報と自社の保有データを掛け合わせて、データに基づいた経営戦略の策定やリアルタイムの進捗モニタリングを可能としている。

具体的には、国内企業400万社と公益法人など50万社、LBCのデータを活用することで、最新情報に基づいた高度なABM(Account Based Marketing)が実現できるという。

  • プランソナー

    プランソナー

同サービスについて、長竹氏は「他社のデータを用いたABMツールは売り上げや利益、従業員数、業種などがメインのため企業詳細情報が薄いです。そこで、当社は差別化するためにセグメントキーを増やし、自社商品を購買してくれる企業のペルソナを作ることができます。なぜなら、先ほども話したストーリー/導入タグが2000項目あるからです。これにより、有望企業を漏れなくターゲティングできるほか、セールス担当をフォローすることを可能としています」と説明する。

そのほか、企業の既存で利用しているCRM・SFAを強化するためのサービスとして「サイドソナー」を提供。これは企業に関連した情報が紐づけられ、属性を組み合わせたターゲットリストの抽出を可能とし、例えばSlaesforceの「Sales Cloud」やMicrosoftの「Dynamics 365」、サイボウズの「kintone」などをLBCを連携させることでセールス活動の効率を高められるというものだ。

  • 「サイドソナー」

    「サイドソナー」

同サービスは実績を有するとともに評価も好評であり、実際に「Salesforce Japan Partner Award 2023」において、最高賞でもある「Japan Partner of the Year (AppExchange Partners」を受賞している。

このように、ユーソナーはユニークなプロダクト戦略により、顧客数を伸ばしており、年商は2021年に34億円、2022年に40億4000万円、2023年には50億3000万円と右肩上がりの成長を続けている。最後に長竹氏は「当社の製品は“尖って”います。そのおかげか年々、弊社を選択いただける企業が増えてきていることを実感しています。今年はさらに年商アップを目指していきます」と意気込みを語っていた。