IDC Japanは4月24日、国内AIシステム市場予測を発表した。2024年の国内AIシステム市場は前年比31.2%増の9000億6300万円となり、2028年には2兆5433億6200万円になるという。

  • IDCによる2024年 国内AIシステム市場予測

    IDCによる2024年 国内AIシステム市場予測

2023年の国内AIシステム市場は、市場規模(エンドユーザー支出額ベース)が6858億7300万円、前年比成長率34.5%となった。この年は生成AIの商用化が進み、金融業や製造業、流通サービス業など多岐にわたる業界で生成AIを活用した実証実験が行われた。

生成AIはテキストや画像、動画生成、プログラミングコード生成など幅広い目的に活用され、国内企業は生成AIに対し積極的な姿勢を示し、生成AIに関わる市場や業界の動きが活発化している。たとえば、クラウドメガベンダーは独自モデルの開発や生成AIの構築を支援するプラットフォーム製品を発表し、オープンソースモデルが登場すると、クラウドメガベンダーのAIプラットフォームでこれらのモデルが利用可能となったことで需要と供給の連鎖反応が起き、ソフトウェア市場が33.4%増、サービス市場が57.6%増、ハードウェア市場が20.7%増加し、併せて市場全体の高成長を支えているという。

2024年の国内AIシステム市場は、前年比31.2%増の9000億6300万円とIDCは予測した。AIモデルを構築する先進的な企業グループは、デジタルビジネスを見据えた独自の生成AIモデル構築に向けて大規模な実証実験と本番運用に向けた投資を加速させるという。また、限定的な利用に留まっていたAIモデルを使う企業グループにおいても、簡易なモデルの作成や生成AIの組み込みアプリケーションの導入が加速し、AIシステムの需要がさらに高まることが見込まれるという。

同時に、先端技術をas a Serviceとして市場にいち早く投入したい企業によるスタートアップへの追加投資や企業買収、市場への製品の連続的な投入により、同市場は一層活発化し競合状況が増すとIDCはみている。AIシステム市場は、2024年は前年に比べると成長スピードは減速するものの、2025年以降再び成長率が上昇し、2023年~2028年の年間平均成長率は30.0%で推移し、その結果2028年には2兆5433億6200万円になるとIDCは予測している。

IDC Japan Software & Servicesリサーチマネージャーの飯坂暢子氏は、次のように述べている。「新旧の要素技術と知的財産や人的ネットワークを相互に生かすことで、総合的に価値連鎖を起こす新市場を見出す必要がある」