Malwarebytesはこのほど、「Meta to abandon social media tracking tool CrowdTangle|Malwarebytes」において、Metaがデータ分析ツール「CrowdTangle」を廃止すると報じた。このツールは注目を集めている投稿をメディアに提供するために利用されてきたが、恣意的に投稿を宣伝したとの告発や規制を受け、新しい「Meta Content Library」に移行するという。
データ分析ツール「CrowdTangle」の廃止
Malwarebytesは、データ分析ツール「CrowdTangle」について、ユーザーがトレンドをリアルタイムに分析できる最初の主要なツールと説明している。研究者やジャーナリストからは記事の影響を評価するために使用されており、選挙前後のソーシャルメディア上の活動を監視するためにも重宝されてきたという。そのため、2024年に予定されている世界中の選挙を前に廃止が発表されたことに懸念の声が上がっている。
Metaは「Important Update to CrowdTangle | March 2024 | CrowdTangle Help Center」においてCrowdTangleの廃止と「Meta Content Library」への移行を発表している。
同社は廃止の理由を「当社のデータ共有製品は技術や規制の変化とともに進化している。CrowdTangleを段階的に廃止することで、研究者に有用で高品質なデータを提供する新しい研究ツールの「Meta Content Library」とContent Library APIにリソースを集中できる」と述べ、欧州連合(EU: European Union)のデジタルサービス法(DSA: Digital Services Act)の規制要件を満たし、なおかつ新しい優れたツールを提供するためと説明している。
CrowdTangleは2024年8月14日に廃止され、同日以降は利用できなくなる予定。また、発表から廃止までの期間、CrowdTangleはメンテナンスモードに入り、新しくアカウントを作成できなくなる。
Meta Content Library
Metaの新しい研究ツール「Meta Content Library」はCrowdTangleよりも優れたツールとされる。Metaの国際問題担当プレジデントのNick Clegg氏は「このツールには影響範囲(reach)に関するデータが含まれており、プラットフォーム上のどのコンテンツが最も人気なのか、よりよく把握できる」と述べ、その有用性を主張している。
しかしながら、Malwarebytesは、双方を利用した研究者からこれらツールには長所と短所があると指摘されていることを紹介している。また、Meta Content Libraryは利用資格があり、特定の研究者または公益性のある非営利団体の組織の構成員のみ利用可能。そのため、ジャーナリストは利用できない(参考:「Meta Content Library and API | Transparency Center」)。
「CrowdTangle」廃止の影響
Mozillaはこの件について公開書簡を発表し、2025年1月までCrowdTangleを維持するように求めている(参考:「Mozilla Foundation - Open Letter To Meta: Support CrowdTangle Through 2024 and Maintain CrowdTangle Approach」)。これは2024年に世界人口の約半数にあたる50カ国で選挙が予定されているためで、CrowdTangleの廃止は選挙の公正性に対する直接の脅威になると訴えている。