ソフトバンクは3月18日、生成AI(人工知能)を活用してコールセンター業務の自動化をさらに進めるために、日本マイクロソフトと共同開発を開始することを発表した。7月以降、ソフトバンクの自社のコールセンターに順次導入し、業務の自動化を進める計画だ。これにより、顧客の待ち時間の短縮と対応の均質化を図り、顧客満足度の向上をめざす。

  • 構成図

    構成図

ソフトバンクは2023年2月から生成AIを業務に活用し、事業や社内業務への先端テクノロジーの導入を進めている。コールセンターでも生成AIの利用を試験的に開始し、顧客の利便性向上に取り組んできた。

こうした中、定型業務が多いコールセンター業務においては、生成AIによるさらなる自動化の余地があると判断し、日本マイクロソフトの「Azure OpenAI Service」を活用して生成AIを最大限に活用した最先端のコールセンターの構築を目指すという。これにより顧客の待ち時間を短縮し、より均質な顧客対応の実現を図る。

ソフトバンクのコールセンターは1万以上の業務が存在し、このうち問い合わせ内容に対する案内や契約内容の照会、契約変更手続きなどの業務を中心に生成AIを活用していく。具体的には、LLM(大規模言語モデル)が顧客の問い合わせ内容を判断して案内を行ったり、データソースから情報を収集したりして最適な回答を行う。

顧客からの問い合わせに対し、LLMがインテント(検索意図)分類し、決められた順序と固定化されたスクリプトで対応する従来のフロー追従型ではなく、顧客との会話内容に応じて、必要な機能やデータソースを参照するLLM自律思考型のシステムを開発することで、柔軟かつ高精度な顧客対応をめざすという。

  • 開発アプローチ

    開発アプローチ

さらに、対応精度を向上させるために、ソフトバンクが提供するさまざまなサービス内容やオペレーターの対応パターンなどの大量の情報を基にプロンプティングを行うほか、「Azure AI Search」を活用してRAGでの連携を行い、社内で保有するデータベースを参照して顧客への最適な回答を素早く導き出すとしている。

なお、ソフトバンクは今後、効果検証の結果を踏まえ、ソリューション化および法人顧客向けの提供も検討していく考えだ。