リコーとリコージャパンは、東京都および東京都住宅供給公社とともに、東京都庁およびサービス付き高齢者向け住宅「コーシャハイム向原」において、ペロブスカイト太陽電池の実装検証を開始することを発表した。

リコーは、複合機の開発で培った有機感光体の技術を応用することで、低照度の室内光でも発電する固体型色素増感太陽電池を販売している。また2023年からはセブンイレブン店舗において次世代太陽電池の実証実験を実施。2024年には東京都大田区ともペロブスカイト太陽電池の実証実験を開始しており、積極的にペロブスカイト太陽電池の開発に取り組んでいるとする。

ペロブスカイト太陽電池は、軽量化が可能で、照度の低いエリアや垂直設置でも発電ができるという特徴から、既存のシリコン系太陽電池に代わる発電技術として注目を集めている。ただ一方で、屋外や低照度の屋内における耐久性には未だ課題を残しているという。

今回の検証では、ペロブスカイト太陽電池を搭載し、CO2や環境情報を取得できるリコー開発センサが使用される。東京都庁では展望室にディスプレイと5個の同センサを設置し、温湿度やCO2濃度などのデータを取得。それらのデータをもとに、換気や空調管理、混雑状況の把握に役立つ情報として展示室内のディスプレイに表示するとともに、インターネット上でもリアルタイムで確認できるとする。

なお東京都庁展望室での検証においては、立花電子ソリューションズおよび大阪エヌデーエスが協力しているとのこと。リコーは、施設の維持管理および来場者の安心感醸成につながるソリューションとして検証するとしている。

一方でコーシャハイム向原では、7号棟の廊下や共用部、居住個室など計5か所にセンサを設置し、施設内の温湿度管理および換気の目安として利用することで、入居者の安全・安心な生活に役立てるとする。取得したデータは職員の端末からブラウザ上で確認できるといい、特に照度センサを活用することで、照明の点灯有無から安否確認を行うことも想定されるという。

  • センサ設置イメージ

    東京都庁展望室(左)とコーシャハイム向原(右)でのセンサ設置イメージ(出所:リコー)

リコーによると、今回の検証は両検証場所とも、2024年3月から2025年4月まで行う予定とのこと。同社はこの実証検証を通じ、ペロブスカイト太陽電池の早期事業化を目指すとしている。