アダストリア、東京23区初『ドットエスティストア』開設 新井事業部長「会員獲得数は2倍」とOMO型店舗に手応え

アダストリアは2月23日、東京23区初となるOMO型店舗「ドットエスティストア」を都内・浅草に開設した。同社が同19日から実施しているサンリオとのコラボ商品をそろえ、キャラクターとのグリーティングイベントを開催した。人気インフルエンサースタッフ3人も来店。早朝から来店待ちの列ができるなど、オープン初日から盛況なスタートとなった。

ドットエスティストア事業部長の新井和路氏は、「『ドットエスティストア』における1店舗平均の会員獲得数は通常店舗の2倍くらいある。『ドットエスティストア』を展開してからお客さまのアクティブ比率が10%ぐらい増えている」と成果を話す。

▲アダストリア ドットエスティストア事業部長 新井和路氏

<「ドットエスティストア」を2021年から11店舗展開>

「ドットエスティストア」は1700万人以上の会員を擁するアダストリアグループのECサイト「.st(ドットエスティ)」と連携し、EC・実店舗それぞれのメリットを融合したOMO型店舗。第1号店を2021年にオープンし、これまでに全国10店舗に拡大してきた。今回、オープンした「ドットエスティストア 浅草ROX・3G店」が11店舗目となる。

▲デジタルサイネージを多数設置

「浅草ROX・3G店」は、浅草ROX・3Gの1階に位置している。店舗面積は約160坪あり、「GLOBAL WORK(グローバルワーク)」「niko and ...(ニコアンド)」「LOWRYS FARM(ローリーズファーム)」など30を超えるブランドを横断的に確認し、試着し、購入できる。

▲ブランドを横断的に試着・購入できる

「マルチ(複数)ブランドを買えるというのは、『ドットエスティストア』の魅力としてお客さまに伝わりやすい。ブランドミックスでコーディネートを提案したり、全ブランドのアウターをそろえて提案したりと、『ドットエスティストア』ならではの商品提案を強化している」(新井事業部長)と話す。

▲キッズアイテムも展開

デジタルサイネージを多数配置し、スタッフのスタイリングを閲覧できる「STAFF BOARD(スタッフボード)」などECサイトのコンテンツをリアルに提供している。ミラーサイネージを活用したパーソナルスタイリングのサービスなども提供している。

▲「浅草ROX・3G店」でもデジタルサイネージに「STAFF BOARD」(左)、ミラーサイネージでパーソナルスタイリングも提案(中)、人気スタッフの来店も周知(右)

オープン初日には、人気の店舗スタッフが来店し、接客するイベントも開催する。人気スタッフを目当てに来店する顧客も多いという。

<都心で「ドットエスティストア」の展開強化>

これまで地方を中心に「ドットエスティストア」を展開してきた。

「ブランドの出店していない地域に『ドットエスティストア』が来ると、『うちの地域にもこのブランドが来た』と喜んでいただける。当社としてもブランド単体で成立しない地域で『ドットエスティストア』が成立すれば良いことだ。実際、これまでは成立していると考えている」(同)と話す。

今回、東京23区に初めて出店した。

「マーケットが大きい都心に展開することの期待も大きい。インバウンドの取り込みにも有効だ。今後、都心も重点的に出店していく。『ドットエスティストア』ができることで、近隣のブランド店舗と食い合うのではなく、相乗効果があることも分かっている。ターミナル駅の施設などへも出店したい。これまでにない規模の店舗も計画している」(同)と言う。

来期(2025年2月期)は「ドットエスティストア」を10店舗展開する計画だ。

<「浅草」「サンリオ」でインバウンドにも期待>

「浅草ROX・3G店」では、インバウンドの取り込みにも期待を寄せている。

「浅草という場所もあり、インバウンドにも期待している。サンリオさんとのコラボでさらに来ていただけることに期待している」(同)と話す。

▲「浅草ROX・3G店」の一角にサンリオコラボの特設コーナー設置

サンリオのキャラクターとのコラボ企画は、「浅草ROX・3G店」だけではなく、他の「ドットエスティストア」、ブランド店舗、ECサイト、メタバースなどにも展開している。サンリオピューロランドでも商品を販売している。1年かけて大々的に展開するキャンペーンだ。

▲さまざまなキャラクターとブランドがコラボ。人気アイテムはECで即完売

「今回、サンリオさんの人気キャラクターとのグリーティングイベントも実施する。今後もリアルならではの体験価値として、コラボの価値を生かしたリアルイベントを実施していきたい」(同)と語る。

<リアルとECの相互利用でLTVは数倍に>

「ドットエスティストア」では来店するだけでポイントを付与するサービスも提供している。

「毎日、お店に訪れてポイントを獲得しているお客さまもいる。当社としては来ていただけるだけで価値がある。1年間お買い物をされないお客さまはいても、2年間全く買い物しないお客さまはほとんどいないというデータがある。ポイントは使うために獲得している。ポイントをより使っていただけるように、利用期限を早めている。その方がポイントが失効せずに使っていただける」(同)と話す。

会員獲得にも「ドットエスティストア」は有効だという。

「店舗平均の会員獲得数は全ブランドの店舗で圧倒的に1位。『ドットエスティストア』では1店舗当たり年間3000~5000人を獲得している。マルチブランドだからということもあると思うが、幅広いお客さまを受け入れられている」(同)と話す。

ECサイト「.st」では、マーケットプレイス(他社ブランドの出品販売)も提供しているが、マーケットプレイスにおける「ドットエスティストア」との相乗効果もあるという。

「『シロカ』さんや『靴下屋』さんなどの商品を『ドットエスティストア』の店頭で販売する取り組みも実施している。出品商品を当社の店頭で受け取ることもできる。人気スタッフのバヤコが『靴下屋』さんとコラボアイテムを企画したりもしている。そのコラボアイテムを当社の店舗で販売するだけではなく、『靴下屋』さんの店舗にバヤコが来店して販売する取り組みも実施した」(同)と話す。

今後もOMO戦略の核として、「ドットエスティストア」の展開に注力する。

「リアルだけでお買い物をするお客さまがまだまだ多い。そのお客さまがリアルとECの双方を利用していただけると、LTVが数倍に跳ね上がるというデータもある。『ドットエスティストア』を始めてから、顧客のアクティブ比率が10%ぐらい増えている。ECから見てもリアルがあることで価値が上がり、リアルもECと連携することで価値が上がる。それがOMOということだと思う。2つで1つの仕組みを作る方向で考えている」(同)と語る。