AMDは、九州旅客鉄道(JR九州)が、「AMD Kria K26 System-on-Module(SOM)」を活用する形で線路点検をAIベースで自動化したことを発表した。
Kria K26 SOMは、DDRメモリ、不揮発性ストレージデバイス、セキュリティモジュール、およびアルミニウム製のヒートスプレッダを備えたカスタムビルドのAMD Zynq UltraScale+ MPSoCを統合した組み込みプラットフォーム。新幹線の線路は高速かつ安全に乗客を輸送するために定期的な点検が求められているが、そのためには多くの時間と人員、コストを必要としていたが、開発された線路点検ソリューションは、時速12マイルで線路の点検を可能としたカートに取り付けられたビジョンコンピューティングボックスといった形状をしており、前後のデータや画像を処理する東京工業大学(東工大)発ベンチャーであるTokyo Artisan Intelligence(TAI)が開発を担当したAIエンハンス機能のためにKria K26 SOMを使用した高速カメラを搭載することで、点検速度、コスト、精度の向上を図りつつ、安全要件を満たすことを可能としたとしている。具体的にはボルトの緩みをはじめ、線路に関するさまざまな問題を検出・判定できるようになったという。
また、この成果を踏まえ、JR九州の新幹線部工務課課長代理の坂口和弘氏は、「TAIとAMDの新しいソリューションにより、従来の線路点検の効率を向上させることができました。将来的に機能を拡張していくことで、点検効率のさらなる向上を期待しています」と、今後のAIソリューションの進化による点検効率のさらなる効率向上に期待を示している。さらに、Kria SOMはFPGAベースであることから、ソリューションとしてもプログラマビリティを有しており、そこに盛り込まれた耐久性や組込AIを含め、JR九州の地域性や乗客ニーズなど、同地域特有の日々変化する状況や状態にも適応することが可能なほか、日々変化する自然条件に合わせてKria SOMを更新することで、将来の投資にもつなげることができるようになるともしている。