日本オラクルはこのほど、同社のSaaSスイート「Oracle Fusion Cloud Applications」の最新動向に関する説明会を開催した。
ERPをSaaSで使うメリットとは
執行役員 クラウド・アプリケーション統括 ソリューション戦略統括 塚越秀吉氏は、オンプレミスではなく、SaaSのERPを利用するメリットについて、「地元のベンダーに保守を委託できること」「アップデートが四半期ごとに行われること」を挙げた。
オンプレミスのERPの場合、手間と時間がかかるため、アップデートは頻繁に行われない。これは、最新技術に基づく機能がタイムリーに利用できないことを意味する。
さらに、塚越氏は「基幹システムをSaaSに移行すると効果はあるが、 社内の仕組みを変える必要がある」とも語った。
Oracle Fusion Cloud Applicationsの3つの特徴
理事 クラウド・アプリケーション統括 ソリューション戦略統括 インダストリーSE本部 中山耕一郎氏は、Oracle Fusion Cloud Applicationsの特徴として、以下3点を挙げた。
- 自社提供のクラウド基盤「OCI(Oracle Cloud Infrastructure)」で提供
- 業務領域を網羅的にカバーする機能提供、シングル・データベース、シングル・データモデルでインテグレーション済み
- 部分的な導入、段階的な導入がしやすいアーキテクチャ
中山氏は、これらの特徴について、次のように説明した。
「SaaSで問題が発生した場合、クラウド基盤はAmazon Web Servicesなどの別な企業であることが多く、問題の切り分けなど、対応が難しい。われわれは自社のクラウド基盤で提供しているので、変更が容易。また、SaaSのモジュールを組み合わせて使う場合、責任は顧客にある。われわれはスイート型で提供しているので、その手間がいらない」
Oracle Fusion Cloud Applicationsの機能拡張は、「標準機能を利用した追加・変更」「Oracle Applications Platformを利用した追加開発」「OCIを利用した疎結合開発」という3つのアプローチの下、行われる。
OCI上で開発を行うと、Fusion ApplicationsとはAPI、ファイルI/Fで連携する、疎結合であるため、SaaSのアップデートを阻害しないという。
Oracle Fusion Cloud Enterprise Performance ManagementのAI機能
OracleのERP「Oracle Fusion Cloud Enterprise Performance Management」(以下、Oracle EPM)は、Oracle E-Business Suiteと買収した「Hyperion Enterprise」を統合し、進化してきた。
塚越氏によると、Oracle EPMはAI機能であるIPMインサイト(多変量分析)を導入することで、財務業務に近づいたという。IPMインサイトはシステムの異常を自動アラートで早期に知らせ、自動予測シミュレーション活用して最適なアクションを支援する。
2021年には、Oracle EPMの基盤はOCI Gen2に移行完了しており、OCI上の生成AI関連の基盤を活用して、提供されている。
なお、Oracle Fusion Cloud Applicationsは、ERP、HCM、SCM、CXと各製品において生成AI機能が追加されている。