安川電機は1月24日、製造装置や産業用ロボットなどで構成されたいわゆる「セル」を統合的に制御するのと同時に、同期性の高いデータをリアルタイムに収集・活用してフィードバックできるマシンコントローラとしてYRMコントローラ「YRM1010」を開発、販売を開始したことを発表した。
同社は2017年に自動化ソリューションにデジタルデータのマネージメントを加えた新たなソリューションコンセプト「i3-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス)」を提唱。i3-Mechatronicsを実現するコントローラソリューションを「iCube Control」として新たに展開していくことを掲げており、今回販売されたYRM1010はこの第1弾として位置づけられるものとなり2021年に製品化されたYRMコントローラ「YRM-X(テン)コントローラ(YRM1000)」の性能・機能を約1.5倍向上させたものだとしている。
現在ものづくりの現場では、IoTやAIを活用した生産効率や品質の向上、トレーサビリティーの確保など、スマート工場の進化に向けた取り組みが加速しているが、その基盤となるものが「生産設備の稼働状況(データ)の把握」となる。工場全体での生産効率を向上させるためには、各生産設備からバラバラにデータを集めるのではなく、統合的かつ時系列がそろった形でデータの収集を行い、データの精度を高め、それを基に分析を実行。その結果を生産設備にフィードバックすることが重要になるとされている。
同社では今回、そうした設備の生産効率向上に向けて、「セルの統合制御」と「時系列がそろったデータ収集」を実現する「YRMコントローラを製品化したとするほか、そのデータを格納・分析・解析を一括して行えるソフトウェアツール「YASKAWA Cockpit(YCP)」と連携させることによって、リアルタイムで解析した結果をセルの動きにフィードバックし、セル全体をデータ基準で統合的に制御することを可能としたとする。
主な特長としては、セルを定義し、セル内の装置やロボットのデータを統合・収集、時間を合わせて自動的にYCPに格納する「セル内のデータ収集」であったり、YCPでデータ解析した結果を、YRMコントローラにフィードバックし、セルの可動率や生産品の品質向上につなげることができる点、セル内のデータを一元管理する「掲示板機能」を実装することで、YRM1010からシーケンシャルな制御だけでなく掲示板に基づいてロボットや装置が自律的に判断して動きに変える制御を可能とした点などがあるという。
なお、同製品はすでに同日より販売が開始されており、同社ではこの販売を機に顧客の課題解決と付加価値の提供を強化していきたいとしている。