間もなくやって来る引っ越しシーズン。過去、賃貸住宅への引っ越しを経験したことがある人ならば誰でも、その契約に関わる手続きの面倒さを感じたことがあるだろう。物件選びから、書類の作成、契約まで、各ステップで発生するやり取りの煩雑さは、入居希望者だけでなく、管理会社、仲介会社それぞれにある。

賃貸住宅運営管理を主事業とする三井不動産レジデンシャルリースは2023年11月29日、同社の基幹システムと、イタンジが提供する不動産関連電子契約システム「電子契約くん」を自動連携させ、個人における賃貸借契約の電子化を開始した。今回は、賃貸借契約の電子化までの取り組みについて、三井不動産レジデンシャルリース 情報システム部長 清水智晴氏に話を伺った。

  • 三井不動産レジデンシャルリース 情報システム部長 清水智晴氏

内見から申し込みまで、各ステップに課題が散見

三井不動産レジデンシャルリースでは、2020年9月に不動産関連WEB申込受付システム「申込受付くん」、2021年9月には内見予約WEB受付システム「内見予約くん」を、いずれもイタンジから導入している。また、あわせて空室の遠隔開錠システムやスマートロック(スマホなどで電子開錠する仕組み)といった鍵の現物がなくても空室の内見ができる仕組みを随時整えていった。そして今回、自社基幹システムとイタンジの不動産関連電子契約システム「電子契約くん」を連携するに至った。これにより、賃貸借契約の電子化を可能にしたわけだが、そもそも、従来の賃貸借契約とはどのようなものだったのか。

まず、入居希望者の多くはWEBや仲介会社からの情報をきっかけに、実際の物件を見学する内見を行う。入居希望者側からすると“部屋を見る”だけのことのように思うが、清水氏によると、ここに管理会社、仲介会社側にとっての課題があったという。

一般的に、空室を内見する際には、仲介会社は他の入居希望者と時間が重ならないように、管理会社に電話して内見の予約をしたうえで、空室を開錠するための鍵を管理会社が事前に預けておいた物件近くの別の仲介会社に借りに行き、内見後に返却するという手続きが必要だ。人気の高い物件であれば、内見希望時間の擦り合わせにも困難が生じることが想像できる。また、やり取りは電話が主であるため、記録に残らない、管理しづらいという問題点もあった。

その後、入居希望者は入居申込書を記入し、審査へと進む。ここでの課題の1つは、入居希望者が記載する項目の多さである。審査に必要な項目が多いため、やむを得ないのだが、入居希望者の負担になっていることに違いはない。

仲介会社は入居申込書の内容を確認し、それを管理会社に提出する。入居希望者が多い場合、先着順で審査に入ることから、スピード感が求められるステップだ。そのため、以前は、管理会社と仲介会社間ではFAXでのやり取りが主流だったという。

管理会社に当たる三井不動産レジデンシャルリースでは、FAXで送られてきた入居申込書の項目を自社の基幹システムに入力していたが、ここでも課題があったと清水氏は話す。

「手書きの書類が画質の粗いFAXで送られてきた場合、内容の判読がしづらいのです。また、身分証明書のコピーがよく見えないという問題もありました」(清水氏)

そこで同社は、内見時の課題に対してはスマートロックや遠隔でオートロックを開錠するシステムおよび内見予約WEB受付システム「内見予約くん」を、入居申込書のやり取りに関しては不動産関連WEB申込受付システム「申込受付くん」を導入したわけだ。

何十枚にもなる紙の書類を電子化

審査が通った後には、入居者と仲介会社で入居日や駐車場賃借の有無などの条件をまとめ、管理会社が契約書を作成する。この契約書作成にも大きな課題があった。同社では契約書に必要な情報を基幹システムに入力し、紙で出力。契約書と共に同封する重要事項説明書や約款など、何十枚にもなる紙の書類を1つのファイルにまとめて、仲介会社に郵送していた。これらの業務には、かなりの手間と日数がかかっていたのである。

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