セールスフォース・ジャパン(Salesforce)は1月17日、セールス向けの生成AI機能を2月14日より一般提供を開始することを発表した。同日には、Salesforce Tower Tokyo(日本生命丸の内ガーデンタワー)で、Salesforce Sales Cloudおよびその最新のAI機能に関する説明会が行われた。
説明会には、Salesforce Senior Vice President Sales Cloud担当のマリーアン・パテル氏が登壇し、Sales Cloudの生成AI機能について解説した。
追加される最新のAI機能とは
Sales Cloudは、スピーディで効率的な営業活動を助ける営業支援ソフトウェア。営業部門に求められる機能を1つの統合プラットフォームに集約し、スマートな営業活動を可能にするものとなる。同社は、Sales Cloudへの生成AIの搭載により、営業効率のさらなる向上を図る機能を提供するとしている。
2月14日に日本市場で一般提供を開始するSales Cloudの生成AI機能は以下の3つ。なお、UnlimitedおよびUnlimited+で利用可能となる。
セールスメール(Sales Emails)
ワンクリックで、CRMデータをもとにパーソナライズされたメールが自動的に作成される機能。営業担当者の自己紹介や打ち合わせ日程の決定、フォローアップのための連絡などを数秒で完了することができる。また、Salesforce内外のデータで強化されるパーソナライズされたコミュニケーションをMicrosoft Outlook、Gmail、LinkedInなどのあらゆる環境で自動化が可能。通話サマリー(Call Summaries)
文字起こしのほか、営業の通話記録から、すぐに使える要点を簡潔にまとめる機能。また、重要なポイントや顧客センチメント、次のステップを特定し、営業チームが商談を進めるサポートを行う。要点を編集してSlackかメールで共有することで、部門を超えた案件の連携を実現する。通話探索(Call Exploration)
CRMに記録した顧客との通話音声とビデオ通話を対象として、自然言語の対話を通じて検索したり、通話内容を要約したりする機能。この機能を通じて、営業担当者がデータを効果的に使えるように支援する。
営業担当者の66%がツールの多さに圧倒されている
パテル氏曰く、対面のみだった以前と比べて、現在はビデオ通話やメール、SNS、Slackなどさまざまなツールの台頭によって、営業活動の難しさは年々高まっているという。MuleSoft Connectivity Benchmark Report(2022)の調査では、66%の営業担当者がツールの多さに圧倒されているという結果も出ているほどだ。
これらの数多くのツールによって、分断されたシステムが出てきてしまったり、商談に対して連携した動きが取れなかったりという課題が顕在化し、営業担当者が営業以外の活動に費やしている時間の割合が72%もあるという現状がSalesforce State of Sales,2022の調査では確認されている。
このような理由から、テクノロジーの簡素化を求めている企業は多く、この課題を解決するためのツールがSales Cloudだという。
今回、新たに生成AIを活用した営業支援機能を追加することで、より簡潔な操作で営業活動が行えるようにサポートする狙いだ。
Sales Cloudの5つのエディション
パテル氏が「Sales Cloudは、あらゆる規模と業種に対応する」と語るように、Sales Cloudにはさまざまなエディションが用意されている。今回の説明会では、先ほど紹介した生成AI機能の発表に加えて、Sales Cloudのエディションに新しくUnlimited+が追加されたことも発表された。
これまでは、マーケティング、営業、サービスを扱う小規模なチーム向けのシンプルなCRMスイートから始められる「Starter」(1ユーザー/月額3000円)をはじめ、営業向けのCRMである「Professional」(1ユーザー/月額9600円)、より高い柔軟性を備えた営業向けCRMとWeb APIが活用できる「Enterprise」(1ユーザー/月額1万9800円)、自動化、AI、開発者支援が組み込まれた営業向けCRMである「Unlimited」(1ユーザー/月額3万9600円)の4展開となっていた。
そして今回、Salesforceの営業向け最上位サービスとしてUnlimited+(1ユーザー/月額6万円)が追加されたことにより、顧客は5つのエディションの中から、最適なSales Cloudのエディションを選択することになる。
Unlimited+は、Unlimitedの全機能に加えて、パフォーマンス管理、人員育成、Slackによるチーム連携やSalesforceと外部データをData Cloud、Revenue Intelligenceで連携することができるようになる。具体的には、Sales PlanningやSalesforce Maps、Slack、Sales GPTなどに対応することが可能だという。
パテル氏は、最後に「Sales Cloudは『営業マネージャーの戦略的データ活用』『チームセリングでの新規顧客開拓』『顧客との関係強化』に有用です」と述べ、新しく追加される生成AI機能についても自信をのぞかせていた。