キヤノンメディカルシステムズとオリンパスは1月15日、超音波内視鏡システムの開発および販売において協業することを発表。同日、都内で記者会見を開き、協業の具体的な内容などの説明を行った。

  • オリンパスのフランク・ドレバロウスキー最高内視鏡事業責任者とキヤノンメディカルシステムズの滝口社長

    オリンパスのドレバロウスキー最高内視鏡事業責任者(左)とキヤノンメディカルシステムズの滝口登志社長(右)

今回の協業の具体的な役割分担としては、超音波内視鏡検査(EUS)で使用する専用の超音波診断装置をキヤノンメディカルが開発・生産し、オリンパスがグローバルで販売する枠組みとしている。時期としては、欧州で2024年第1四半期より、日本でも2024年6月より発売するとしているほか、将来的には米国などにも販売先を広げていく予定。

EUSでは超音波内視鏡と超音波診断装置を組み合わせた検査システムで、体表や通常の内視鏡では観察出来ない部分にもアプローチができるほか、至近距離での観察が可能であるため、従来以上に鮮明な画像で診断できるというメリットがある。

特に、膵臓や胆道の検査は難しいとされており、中でも膵がん(すい臓がん)は初期症状が出にくく、ステージが進行してはじめて症状が現れ、そこで検査して判明することが多いが、手術が難しいなどの理由から5年生存率が低いとのこと。そうした膵腫瘍が疑われる場面においてもCTやMRIにより小さな膵腫瘍を発見することができるため、膵がんが疑われた場合、EUSを行うことが「膵癌診療ガイドライン(2022)」でも提案されている。今回の協業では、キヤノンメディカルのEUS領域向け超音波診断装置とオリンパスの超音波内視鏡が組み合わされる形で市場に提供されることとなる。

  • 今回、キヤノンメディカルのEUS領域向け超音波診断装置とオリンパスの超音波内視鏡を組み合わせたソリューション

    今回の協業発表に併せて、キヤノンメディカルのEUS領域向け超音波診断装置とオリンパスの超音波内視鏡を組み合わせたソリューションが披露された

今回、会見にて披露されたキヤノンメディカルの「Aplio i800 EUS」は、高画質であり術者が診断しやすいのはもちろん、従来手動で行わなければ出来なかった高さ調節のほか画質調整などもボタン1つでできるため、術者の負担軽減を図れることに加えて、組織細胞の硬さも超音波を利用することで判別することができるという。

会見にて、キヤノンメディカルはオリンパスを「EUS領域で内視鏡のトップメーカー」、オリンパスはキヤノンメディカルを「トップレベルで高い超音波画像技術を持っている」と、互いの高い市場シェアを誇る販売力や技術力を支持し高いシナジーを期待する形で協業に至ったと説明。キヤノンメディカルの滝口社長は「事業の売上高は1億ドル規模を目指していきたい」と言及した。

膵臓や胆道疾患数は世界で推定6000万人いるとされており、EUSの対象となる患者数は今後も増加していくとされている。そのため両社は、今回の協業を一歩目として互いの技術を掛け合わせ、より高画質な診断ができる高性能な製品を市場投入し、膵がんなどの早期発見や診断性能の向上を目指すとしている。