エプソンが出資を決めたアクセルスペースとは?

セイコーエプソンとエプソンクロスインベストメントは、両社の出資するEP-GB投資事業有限責任組合を通じて、アクセルスペースの持株会社であるアクセルスペースホールディングスに対して出資したことを発表した。

  • 小型人工衛星GRUS

    アクセルスペースが開発・製造・運用を行っている小型人工衛星「GRUS」(c)Axelspace (出所:エプソン)

アクセルスペースは、東京大学(東大)発の宇宙スタートアップであり、「Space within Your Reach~宇宙を普通の場所に~」というビジョンのもと、小型人工衛星の開発・量産・運用を行う「AxelLiner(AL)事業」および地球観測データを取得・蓄積し、そうして得た画像の販売や画像をもとにした解析・コンサルティングサービスを提供する「AxelGlobe(AG)事業」の2本を事業の柱に据えて、これまでに9機の小型人工衛星の設計・製造・運用を行ってきた。また、地球観測を目的としたコンステレーションの実現に向けた超小型地球観測衛星「GRUS」の4機同時製造体制を構築するなど、今後の量産に向けた知見の蓄積も進められている。

現在、同社では打ち上げた人工衛星を活用した宇宙データや技術の利活用、軌道上サービス領域のさらなる拡大を見込み、地球観測プラットフォームと小型衛星のワンストップサービスの2つの事業を軸に事業拡大を目指しており、ワンストップサービスの実証として2024年に衛星の打ち上げも予定している。

エプソンがアクセルスペースに出資を決めた背景

2019年に内閣府により発表された「宇宙産業ビジョン2030」では、国内の宇宙産業の市場規模を2030年代初頭に2兆4000億円に倍増するとされるなど、近年の宇宙産業は急速な商業化に向けた転換期を迎えてるといえる。具体的には、衛星データを活用したソリューションビジネスや小型衛星コンステレーションによる高頻度観測サービスのほか、軌道上サービス、宇宙資源開発など、「ニュースペース」と言われる領域での新たなビジネスプレイヤーやビジネスモデルが存在感を増しつつある。

エプソンでは、そうした時代の流れを踏まえ、今後グローバルでの人工衛星の打ち上げ機数の増加や、人工衛星による宇宙データ・技術の利活用が安定的に成長していくことが予想されること、ならびに同社の掲げる長期ビジョン「Epson 25 Renewed」において、「省・小・精の技術」を極めた水晶・半導体ソリューションにより、スマート化する社会の実現に貢献することを目指していることを踏まえ、宇宙データ・技術の利活用ビジネスにおいて高い技術力をもち成長を続けるアクセルスペースに対して出資を行うことで、宇宙事業にも力を入れていきたいとしている。また今回の出資を通して、エプソンのさまざまなセンシングデバイスとのシナジーの可能性も模索していきたいともしている。