【インタビュー】かっこ 中生緑氏「旅行やチケットに関する不正検知機能を強化し、業界の健全な発展を」

不正注文検知サービス「O-PLUX」を提供する検知サービスを提供するかっこは、物販やECに加えて、インバウンドを背景に急増する旅行やイベントのチケットの取り扱い事業者向けに、不正検知サービス「O-PLUX for トラベル」「O-PLUX for チケット」の提供を行っている。カスタマーサクセス Divisionの中生緑Divisionマネージャーに、旅行・チケットの不正対策について聞いた。

──旅行やチケット系の不正が増えている。

コロナ禍でこうした不正は減少傾向にあったが、5類への移行で旅行が本格的に再開したことでトラブルが増加に転じている。企業も、物販より体験に力を入れており、消費の喚起を促している。こうした要素が重なっていることも不正が増加している背景にある。企業によっては月数千万円単位で不正が起こっている。

旅行の予約・チケットの購入の際は、ユーザーが入力する項目が比較的に少ない。事業者側は受注を増やしたいという思いもあり、メールアドレスとクレジットカートの登録のみで購入が完了するというケースがある。一方で、不正検知の観点からは、不正を判定できる材料が少なくなってしまうリスクがある。そのため、事業者だけで不正検知対策をすることは難しい。中には、不正対策のために、住所などの入力を増やすところも出てきている。

また、人気公演の抽選には、同一端末から多数の申し込みが行われてしまっている。

──チケットの不正検知対策については?

「O-PLUX for トラベル」「O-PLUX for チケット」というサービスでは、旅行の予約・チケット購入の際、不正を判定する材料が少なくても、ユーザーが予約やチケットの購入をした際のデバイス情報を判定材料にすることができる。金融機関向け対策で培った端末特定技術を活用することで、サイトに侵入を検知することができる。

さらに、IPアドレスなどの従来から用いられる情報に加え、独自技術で利用者の端末が特定可能だ。ITP(Intelligent Tracking Prevention)などでサードパーティークッキーに制限があっても、高い精度で利用端末を特定できる。

すでに導入している加盟店では、他の加盟店では不正が多いものの、不正が抑えられているという声も寄せられている。以前は大手のチケット販売企業が狙われていたが、最近は、小規模の企業でも狙われる対象になっている。チケットなどは換金しやすいという点で、物販のECと比較して不正が起きやすい状況だ。

──不正転売されるとブランドの棄損につながってしまう。

チケットの場合は、購入できるところが多いため、一度不正が起きてしまうと他のサイトに移ってしまう。

ECでも自社ブランドを販売しているところは意識が高く、商品を守りたいという思いで導入している。一方で、仕入れ商品を販売するところとは少々意識に差がある。目先の売り上げを優先してしまいがちだが、業界全体の値崩れを防ぐためにも不正対策に意識を持ってほしい。

当社では、旅行関連の予約やチケット販売の不正検知機能を強化する予定もあり、業界の健全な発展に努めていきたい。