シャープが、創業から111周年を記念し2023年11月10日から11月12日まで東京ビッグサイトにて開催していた技術体験イベント「SHARP Tech-Day」。

今以上に豊かな生活の実現を想像できる未来のソリューションが数多く展示されていたが、そうした数多く展示されていた中でも1日のはじまりから終わりまで、あらゆる場面において生活をアップデートできそうなワクワクするソリューションをいくつか紹介したい。

XRの活用で暮らしをアップデート

まずは、朝起きてから家を出る前にその日のスケジュール確認や毎日の洋服のコーディネートの提案、職場における会話の中のキーワードの可視化などでの活用が期待できる進化したXRグラスのコンセプトモデル。

  • VRグラスのコンセプトモデルの外装

    VRグラスのコンセプトモデルの外装

  • MRグラスのコンセプトモデルの外装

    MRグラスのコンセプトモデルの外装

従来提案されていたXRグラスは頭部分をホールドするように装着する必要があったというが、今回展示されていたXRグラスのコンセプトモデルはメガネのように容易に着脱することができるようになっているほか、外装もおしゃれに仕上げることで生活の一部に溶け込むようなデザインとなっている。

  • XRグラスを用いることで生活や仕事のアップデートを可能にするという提案

    XRグラスを用いることで生活や仕事のアップデートを可能にするという提案

とくにMRグラスのコンセプトモデルでは、その日のスケジュールや天気などを一覧でみることができるほか、子育て中やペットを飼っている場合は見守りモニターを表示させることができるという。また、気温やスケジュールなどを加味して持っている服から最適なコーディネートを選んでくれたり、食材の切り方から料理の作り方まで手取り足取り教えてくれたりと、あらゆる機能が提案され生活のアップデートができるとする。

さらに、職場において役立つであろう視界の先の空間上に会話内容(言語)をリアルタイムで翻訳・表示してくれる言語翻訳や、会議で行われた内容を自動的にまとめて、重要なキーワードだけをピックアップしてくれる会議の可視化、複数人での会話の中でイメージに相違が起きないよう絵を映し出してくれるイメージ生成などの機能も提案しており、家庭内のみならず仕事においても活用することができることを強調していた。

家での時間を有効活用するためのソリューション

自宅に帰ってからの時間を有効に活用できるソリューションとしては、「高速オーブン」に注目が集まっていた。

このオーブンは、同社独自の加熱技術と熱源の最適制御で調理時間を短縮することができるというもの。さらに加えて、「+Eye(プラスアイ)」というオーブンレンジに取り付けセンシングすることで焼き色を自動で判断し加熱を管理してくれるカメラの展示も行われていた。

  • 「+Eye(プラスアイ)」の外観

    「+Eye(プラスアイ)」の外観

+Eyeで撮影された映像はさまざまなデバイスでみることができるほか、何度も調理の途中でオーブンを開けて焼き加減を確認するといった行為や、オーブンの前で焼き加減を見張っておくといった無駄な時間を過ごす必要もなく、自分好みの焼き加減になると自動で加熱を終了してくれるといったことも可能だという。

例えばトーストのような焼き加減による「色の濃淡」、サーモンのように生の時は赤、少し加熱すると白、焼きあがると赤になるといった「色の変化」、クロワッサンのように焼いていくについて膨れるといった「形状の変化」にも対応するとし、簡単においしさを追求していくことができるとした。

  • トーストの焼き加減のイメージ

    トーストの焼き加減のイメージ

焼く時間で調節しても自分好みの焼き加減を実現することは可能であるが、同じ食材でもその時々で鮮度や分量などの違いがあるため調節が難しいほか、焦げがついてからの変化のスピードは早いため自分好みの焼き加減で料理を完成させるにはそれなりの労力がかかる。

  • カメラによって撮影されたトーストが画面に映し出され、色を数値で計っているデモンストレーションの様子

    カメラによって撮影されたトーストが画面に映し出され、色を数値で計っているデモンストレーションの様子

オーブン内の高温にも対応できるカメラを開発したことと、冷却機構をうまく活用することで実現した技術であるとするほか、映像を見た時に、よりおいしそうにみえるようカメラの彩度にもこだわり、焼き色の段階も現時点では数値化されて判別できるように開発を進めているとしている。

なお、「今後はカメラによる目と、AIによる頭脳をオーブンに組み込んでいき、その精度をあげつつ、進化するカメラ技術との融合を進めることで、おいしさ・健康・時短・見た目までも追求できる形に進化させていきたい」と担当者は意気込みを語っていた。