文部科学省(文科省)傘下の科学技術振興機構(JST)は、日本政府が目指す2050年でのカーボンニュートラルを実現するための「革新的GX技術創出事業(GteX)」を構成する「蓄電池」「水素」「バイオものづくり」の各技術領域における2023年度の研究開発テーマとその研究開発担当者を採択したことを10月3日に公表した。

文科省が基本方針と研究開発方針を決めて、JSTがその研究開発事業を実施するGteX(図1)の公募に、2023年度は合計118件の応募があったという。同事業全体を統括する魚崎浩平プログラム・ディレクター(PD)と各テーマのプログラムオフィサー(PO)などを中心として構成する審査委員会が、各応募テーマなどを審議ならびに面接などを実施した結果、蓄電池領域では合計13件、水素領域では合計8件、バイオものづくり領域では合計10件、3領域合計31件を採択したという。

  • 革新的GX技術創出事業の体制概要

    図1 革新的GX技術創出事業の体制概要。事業全体を統括するPDと各領域のPO (出所:JST資料)

蓄電池領域(POは桑畑進・大阪大学教授)におけるチーム型研究では「実用電池(先進リチウムイオン電池)の革新」1件、「高安全性を実現する電池開発」2件、「資源制約フリーを実現する電池開発」2件、「軽量・小型・大容量を実現する電池開発」1件、「共通基盤研究(計測やDXなど共通基盤の構築)」1件、「革新的要素技術研究」6件がそれぞれ採択された(表1)。

  • 蓄電池領域、水素領域、バイオものづくり領域の採択テーマ

    表1 蓄電池領域、水素領域、バイオものづくり領域の採択テーマ(出所:JST資料)

水素領域(POは内田裕之・山梨大学教授)におけるチーム型研究では「高効率・高耐久・低コスト化を可能にする水電解システムの実現」1件、「高効率・高耐久・低コスト化を可能にする燃料電池システムの実現」1件、「高効率・高耐久・低コスト化を可能にする水素貯蔵システムの開発」1件、「革新的要素技術研究」5件がそれぞれ採択された。

バイオものづくり領域(POは近藤昭彦・神戸大学教授)における中核研究チーム型では「微生物を中心とした次世代バイオものづくりプラットフォームの確立」1件と「植物を中心とした次世代バイオものづくりプラットフォームの確立」1件、基盤的技術研究チーム型では「生物間相互作用の探索・解析研究」1件、「人工系による評価システム研究」1件、「解析技術高度化・情報数理科学研究」1件、「革新的要素技術研究」5件がそれぞれ採択された。

なお、今回の発表では、具体的な各研究開発テーマの研究開発費は公表されていない。