日立製作所、日立システムズ、茨城県笠間市の3者は10月4日、同市における人口減少と少子化・高齢化を背景とする多様な地域課題の解決に向けた取り組みとして、相互に協力し推進するための連携協定を2023年8月に締結したと発表した。その第1弾事業として、「動く市役所」を2023年10月に同市でサービス開始する。
同協定は、デジタルの力を活用した効果的なサービスの研究および実施を通じ、市民サービスの質向上などによる地域課題の解決を図り、持続するまちづくりの実現に貢献することが目的とのこと。
具体的な連携内容は、1)オンライン行政サービスの研究および内容の向上、2)デジタル技術を使用した新たな市民サービスの研究および実現、3)地域DX(デジタル・トランスフォーメーション)の実現に向けた研究および人材育成、4)デジタル・デバイド(情報格差)の解消に資するサービスの研究および実施、5)その他、笠間市創生の推進に関することで3者が必要と認める事項の5点。
新たにサービスを開始する動く市役所は、オンラインで笠間市職員とビデオ通話をしながら対面さながらの各種申請手続きや相談ができる窓口サービスを備える車両が、公共施設や商業施設、福祉施設など市内各所へ出向くもの。
市役所窓口への来訪が難しい高齢者や子育て世代など、市民の利便性を向上すると共に、オンラインのみでは不安を感じる申請や相談などに対して対面の再現による安心感の供与を図る。
オンラインでの申請手続・相談などを可能にするという日立のサービスである「汎用デジタル窓口」を搭載した車両に市役所職員が搭乗し、市内各所へ出向く移動型窓口サービスであり、リモートで市役所の窓口に近いサービスを提供する。
市民は車両内の大型ディスプレイで、ビデオ通話により市役所職員と会話しながらマイナンバーカードなどの各種申請手続や相談を進められるといい、必要な書類についても車両と市役所の双方に設置した書画カメラを用いてリアルタイムで共有して記入可能としている。
今後は保健医療サービスへの活用や、民間サービスと連携したサービス提供範囲の拡大を推進するなど、さらなる市民の利便性向上と地域経済の維持、向上に向け活用方法を検討していく。