日立製作所は10月17日、複数事業者が提供する相談窓口・各種手続サービスをワンストップで利用可能にする「汎用デジタル窓口」を販売開始した。併せて、茨城県笠間市で新サービスを搭載した車両を用いた移動型窓口サービスの実証を、10月21日まで実施する。
同サービスは、地域の出張所や公民館、銀行や駅、移動車両など生活圏の身近な場所に利用ブースを設置し、遠隔地からでもオンラインで自治体や民間企業の窓口サービスを横断的に利用可能な各種機能を提供するもの。
大型のディスプレイとシンプルな操作方法により、デジタルに不慣れな高齢者なども直観的操作で安心して利用できるという。
同サービスでは行政窓口に加え、銀行や交通事業者、医療機関、旅行代理店など多様な窓口サービスと接続可能なため、役所から離れたエリアの住民や移動制約者の負荷低減につながるとしている。
自前で拠点を持たずに利用者とのチャネル維持・拡大やサービス提供が可能になるため、窓口・店舗数の適正化や固定費削減に寄与するという。また遠隔での対応が可能なため、窓口対応者の多様な働き方も支援するとのこと。
オンラインでの本人確認には「日立公的個人認証利用サービス」を利用し、マイナンバーカードで電子証明書の有効性を確認できる他、自治体の行政手続や窓口対応業務の効率化、電子申請の利用率向上、ペーパーレス化を促進する各種機能を提供するという。
これにより、利用者による入力や自治体職員による聞き取りが不要になる。また電子申請では、利用者がタブレット上で必要情報を手書き入力できる機能を提供することで、窓口対応者の入力作業を効率化するとしている。
セキュリティ面では、総務省が公表した「自治体情報システム強靭性向上モデル」に配慮した「地域IoT連携クラウドサービス」を利用し、自治体内のLGWAN(総合行政ネットワーク)系業務システムと同サービスとの接続により、職員はセキュアな環境下で予約情報や相談記録といった住民に関する情報の登録・検索が可能だ。
笠間市での実証では、同社と日立システムズが連携し、MONET Technologiesが提供する同サービスを搭載したマルチタスク車両による移動型窓口サービスを期間限定で実施する。
同実証で得た知見を基にシミュレーションし、移動型窓口サービスの効果的な活用方法なども検討していく予定だ。