Googleは9月13日(米国時間)、NECと共に、台湾、フィリピン、グアム、カリフォルニアを結ぶ「台湾-フィリピン-米国海底ケーブル」(各国の通信事業者である、中華電信、Innove、AT&Tと共同で構築予定)に、業界としては初めてとなるマルチコアファイバー技術を採用することを決定したと発表した。

従来の海底ケーブルでは、電力は岸側から供給され、専用のポンプ・レーザーが各ファイバーの光信号を増幅することで、データを配信しているという。近年、空間分割多重(Space-division multiplexing)技術が導入されると、1本のケーブル内のファイバー数を拡大できた。これにより、コスト効率の良いレートで大容量の海底ケーブルを提供することが実現された。

ところが、昨今は空間分割多重技術においても拡張性の問題に直面しているという。各ケーブルのファイバー数を増やすためにケーブルの外径を広げると、原材料や重量が増加するため、海上での運用やメンテナンスに負担がかかる。さらに、ファイバーを増やすには、製造、試験、修理に要する時間が大幅に増加するという。

こうした課題の解決に向け、今回、マルチコアファイバーが採用されることになった。

マルチコアファイバーは、ベースとなるシングルコア光ファイバーのコア数を2倍に増やすことで、同じファイバー素線のまま、ビットあたりのコストを抑えながら、より多くの光と情報を伝送することを可能にする。

また、マルチコアファイバー技術は、従来のシングルコア光ファイバーで実装された同等のコア数と比べ、ファイバー心数を減らすことができ、より迅速な製造、試験、保守作業を可能にする。

  • 従来のシングルコアファイバーケーブルとマルチコアファイバーの比較 引用:Google Cloud blog