出光興産は8月7日、同社100%子会社である出光アメリカズホールディングスを通じて、Hatch Blueと、日本でのブルーカーボン事業の創出に向けた共同検討を8月より開始することを発表した。

ワカメやアカモクなどの海藻、アマモなどの海草、湿地・干潟、マングローブ林の働きによって海中に吸収され、貯蔵された炭素であるブルーカーボンは、近年、CO2吸収源として注目されるようになってきており、特に海に囲まれた日本では、その地理的特定を生かす新技術として期待されるようになっている。

Hatchは、海洋資源分野のスタートアップに投資を行っている企業で、ファンドを組成するとともに、世界中の企業・アカデミアとの共同研究・事業に取り組んできた。今回、出光では共同検討の開始にあたって、Hatchが組成したファンド「Blue Revolution Fund」にも7月に出資したという。同ファンドは、世界的な自然保護団体(非営利団体)「The Nature Conservancy」も参画し、海洋資源における生物の多様性、気候変動問題、水産資源の活用、漁業の振興といった環境・社会課題への価値創出を目指したもので、こうした連携を通じて出光では、将来有望なCO2吸収策となり得る海洋資源・ブルーカーボン分野のスタートアップやアカデミアと繋がることで、同分野の知見・経験を獲得することを目指すとしている。

  • Hatchのロゴ

    Hatchのロゴと、同社がハワイ島に拠点を構えるNELHA(Natural Energy Laboratory of Hawaii Authority:ハワイ州立自然エネルギー研究所)の外観 (出所:出光興産)

今回の共同検討は、日本国内におけるブルーカーボン活用に向けたもので、「将来的なCO2削減と事業創出に資すること」、「日本の地理的特性を生かせること」、「漁業振興、地域貢献につながること」をテーマに取り組み、調査を通じて、日本各地域における藻場づくりをはじめとしたブルーカーボン生態系の活性化・持続可能性の向上や地域創生に貢献する事業の創出を推進するとしており、将来的にはジャパンブルーエコノミー技術組合(JBE)が発行する「Jブルークレジット」を取得することを目標として掲げ、既存ビジネスと組み合わせ、新たな製品・サービスを提供することで事業の拡大を目指すとしている。

具体的な事業展開としては、同社の2030年に向けた中期経営計画とCO2排出削減目標の達成に向けた第1段階とし、同社の製油所などの事業所近海での藻場の育成、環境にやさしい水産養殖、CO2回収・海底貯蔵などの実現などの取り組みを進め、その後、既存ビジネスと組み合わせる形での畜産家畜資材、バイオ燃料などの創出といった事業の拡大を目指すとしている。