双日、日商エレクトロニクス(日商エレ)、オムロン ソーシアルソリューションズ(OSS)の3社は、積水ハウスの豊橋支店において、商用電気自動車(EV)・プラグインハイブリッド車(PHEV)向けのクラウド型充電制御システム「EVオートチャージ」を納入・設置したことを発表した。

2050年のカーボンニュートラル社会実現に向け、脱炭素への要求が社会的に高まっており、自動車業界では2035年までに新車販売における電動車比率100%が国の目標として掲げられるなど、今後EVの普及拡大が急速に進むことが見込まれる。こうした流れを受け、近年では、運輸業界・自治体・オフィス・工場を中心に、運輸車両や公用車・社用車をEVへと転換する動きが見られる。

日中に稼働したEVは、翌朝までにバッテリーを満充電にする必要があるため、拠点への帰着後には一斉充電を行うことになる。しかしそのような一斉充電は、昼過ぎから夕方帯にかけて訪れる電力需要集中を加速させる恐れがあるほか、電力ピークの発生による契約電力高騰のリスクもはらんでいる。

商用EV・PHEVの普及における前出の課題に対し、双日など3社は、施設内の電力需要を把握したうえで、車両の残充電量を常時把握して翌日の適切なタイミング(始業時刻など)に合わせて分散充電を行うことで、施設の購入電力を上限目標値以下に抑制するEVオートチャージを提供している。同サービスでは、充電残量を自動で取得するため、EVにプラグを挿すだけで最適な充電計画が設定され、複雑な運用はなく利用できるとする。

  • EVオートチャージを活用した充電システムの概要

    EVオートチャージを活用した充電システムの概要(出所:オムロン ソーシアルソリューションズ)

2022年11月に提供を開始したEVオートチャージについて、今般、積水ハウス向けの第1弾案件として豊橋支店への納入・設置が完了したという。

積水ハウスは、業務用車両の電動化に加え、戸建て住宅や賃貸住宅、分譲マンションの建設においてZEH・ZEB(Net Zero Energy House/Building)を実現するなど、脱炭素化への取り組みを進めている。なおZEH・ZEBとは、省エネ設備の導入や太陽光発電設備などの活用により、快適な室内環境を実現しながら、建物での年間1次エネルギー収支をゼロにすることを目指した家やビルを指す。

双日など3社は今後、さまざまな技術開発やアライアンスなどを通じて、EVオートチャージのみに限らずV2Hや蓄電池制御サービスといった効率的なエネルギー活用を促進する製品・サービスを提供することで、顧客の利益と社会課題解決につながる新たな価値を提案していくとしている。