Zホールディングスは7月27日、OpenAIとGPT-4など同社が提供するすべてのAPI(Application Programming Interface)に関する利用契約を締結し、グループ会社であるLINEおよびその子会社と、ヤフーにおいて利用を開始したことを発表した。また、LINEおよびその子会社とヤフーの従業員約2万人に向けて、APIを活用した対話チャット型の独自AIアシスタントサービスの提供を開始している。

なお、独自のAIアシスタントサービスの社内利用に際しては、社内認証やネットワーク制限により社内ネットワーク環境下でのみ利用できる環境を構築しているという。出入力情報はOpenAIモデルのトレーニングやOpenAIのサービス改善には活用されず、二次利用や第三者への提供がされない仕様としており、社外秘情報も扱える。

今回同社がAPIの利用を開始するのは、GPT-4、GPT-3.5、GPT-3といったLLM(Large Language Models:大規模言語モデル)の他、文章をベクトル化するEmbeddings、テキストから画像やイメージを生成するDALL·E、音声の文字起こしが可能なWhisper、テキストのセンシティビティを判断するModerationだ。

Zホールディングスが今回締結した契約によって、OpenAIが提供するすべてのAPIを利用可能となる。ユーザーは文書やメールのテンプレート作成に加えて、文案の修正、調査、文章の分類分け、外国語のテキスト翻訳、アイデア出しなど、さまざまな業務の効率化が見込めるとのことだ。

同社は2023年6月に生成AIに関する社内推進組織「生成AI活用推進室」を発足しており、7月27日現在で63人が所属しているという。同年3月にはグループ全従業員を対象とした「生成AI利用ガイドライン」を策定するなど、積極的な生成AIの活用を推進してきた。

ヤフーが運営する飲食店予約サービス「PayPayグルメ」がOpenAIのChatGPTプラグインを提供開始するなど、すでにサービスへの活用も開始している。Zホールディングスは、ユーザープライバシーの保護と適切な情報管理を前提としながら、権利侵害や倫理面に反するAI利用に発展することがないよう適切かつ積極的に生成AIの活用を推進するとしている。