テラスカイとテクノスジャパンは7月26日、資本業務提携契約を締結したことを発表した。同日には記者会見が開かれ、同提携における協業の詳細が説明された。

テクノスジャパンが提供する企業間協調プラットフォーム「CBP」と、テラスカイが提供するSalesforce向けグループウェア「mitoco」や、同社が独占販売する「Fujitsu GLOVIA OM」(GLOVIA OM)の連携、導入コンサルタントの相互協業など、両社は複数の協業を通じてビジネス成長を目指す方針だ。

CBPやmitocoによるERP総合ソリューションを共同開発

会見の冒頭で、テクノスジャパン 代表取締役 社長執行役員の吉岡隆氏は、「両社が提供するサービス内容、事業展開の方向性の協議により売上拡大、サービスレベルの向上が見込めると判断し、今回の提携に至った。2023年2月より資本業務提携による協業スキームについて両社で検討を重ねた」と説明した。

  • テクノスジャパン 代表取締役 社長執行役員 吉岡隆氏

    テクノスジャパン 代表取締役 社長執行役員 吉岡隆氏

今後両社は、市場より相互の株式1億円を目途に買い付ける予定だ。2024年度から5年間で、各社10億円程度の売り上げ増を目指すという。吉岡氏によれば、今後は「製品ビジネス」「Salesforce」「SAP」の3領域を軸に協業を進めるという。

製品ビジネスにおける協業では、CBP、mitoco、GLOVIA OMを連携させたERP(企業資源計画)総合ソリューションを共同で開発・提供する。これにより、両社が提供するサービスレベルを向上させて、顧客企業の企業活動の可視化、戦略的営業活動や経営判断を支援し、新規顧客獲得にも繋げていく狙いだ。

例えば、CBPは企業間のERPやCBM(顧客関係管理)の連携で利用されるが、システム受発注の画面を制御する際にmitocoのワークフローや機能と連携させることでシステムを跨いだ処理などが可能になる。

また、GLOVIA OMとCBPを用いて、顧客が利用するSalesforceとその仕入先や得意先の基幹システムやFAX、EDI(電子データ交換)システムなどを連携させるソリューションも検討しているという。

  • mitoco、GLOVIA OM、CBPの連携イメージ図

    mitoco、GLOVIA OM、CBPの連携イメージ図

SAPビジネスではBeeXと連携、基盤からアプリまで一貫して支援

Salesforce関連ビジネスにおいては、国内と海外、両マーケットでの協業を進める。国内マーケットでは、両社の既存マーケットに対して営業、エンジニアの相互協業を実施する。

具体的には、テラスカイがエンタープライズの顧客に対してCBPを提案。テクノスジャパンはミッドマーケットに対してテラスカイおよび同社グループ会社の製品の提案・販売を行う予定だ。また、テクノスジャパンは長年、ERPを販売してきた実績があり、そのノウハウをGLOVIA OMの販売活動に生かしていく。

海外マーケットにおいては、テクノスジャパンの子会社である米Lirikが北米マーケットでテラスカイ製品ならびに両社連携ソリューションを販売する。テラスカイは製品の提案・販売・導入に必要なトレーニングを実施するほか、プリセールスなどの販売支援活動も行うという。

テラスカイ 代表取締役CEO 社長執行役員の佐藤秀哉氏は、「国内・海外ともに協業による成長余地が大きいと考えている。Salesforceインテグレーションを専業とする当社と、Salesforceエンジニアを抱えて同製品の導入・保守などのビジネスを展開するテクノスジャパンの共通課題はエンジニアが足りないことだ。今後はエンジニアの獲得と育成を共に進めることで、国内のSalesforceビジネスを盛り上げていきたい」と業務提携に向けた意気込みを語った。

  • テラスカイ 代表取締役CEO 社長執行役員 佐藤秀哉氏

    テラスカイ 代表取締役CEO 社長執行役員 佐藤秀哉氏

SAPビジネスの協業では、テラスカイのグループ会社でSAP関連事業を行うBeeXも協業に参画する。両社の強みを生かして、今後はSAPのコンサルティング、モダナイズ化・クラウド化、保守ビジネスまで一貫して支援できるサービスを提供していく。

  • BeeXとテクノスジャパンによるSAP領域における協業のイメージ

    BeeXとテクノスジャパンによるSAP領域における協業のイメージ

BeeX 代表取締役社長の広木太氏は、「当社はSAPの基盤領域に強みを持ち、テクノスジャパンはERPアプリケーション領域でのコンサルティング経験が豊富だ。SAP ERP 6.0の標準サポート終了が2027年(延長サポート終了は2030年)に迫る中で、両社の顧客におけるSAP S/4HANAへの移行や、移行後の継続アップグレード支援に協力して取り組む。加えて、オンプレミス環境のみでERPを利用している顧客に対して、クラウド基盤への移行、AIやデータ分析の導入といったクラウド活用支援も実施していく」と説明した。

  • BeeX 代表取締役社長 広木太氏

    BeeX 代表取締役社長 広木太氏

同ビジネスにおける協業の背景について吉岡氏は、「当社にもSAPの基盤チームがあり、これまでもBeeXを含めたパートナーと個別案件ベースで協業してきた。だが、2030年に向けてS/4HANAへの移行需要が見込まれる中で、今後は中長期的な目線で、戦略的に案件を受注していく必要があると考えていた。また、クラウドインフラにおける技術革新が激しい中で、基盤事業を専業とする企業との連携の必要性を感じており、今回の協業を決めた」と語った。